ジョゼップ・グアルディオラとジョゼ・モウリーニョ。2人の名将に率いられたマンチェスターの両雄が、混戦の予想されたプ…
ジョゼップ・グアルディオラとジョゼ・モウリーニョ。2人の名将に率いられたマンチェスターの両雄が、混戦の予想されたプレミアリーグの上位争いで早くも後続を突き放している。
リーグ再開後のグアルディオラとモウリーニョの采配に注目が集まる
現在、7試合を消化したリーグ戦でマンチェスター・シティが勝ち点19で1位、マンチェスター・ユナイテッドが同じく勝ち点19で2位に並ぶ。共に6勝1分、得点は前者が22、後者が21、失点はどちらもたったの2のみ。わずかに得点1の差で並走する両チームが、3位のトッテナム・ホットスパーには勝ち点5差をつけている。
開幕前の優勝予想でシティに人気が集まったのは事実だ。しかし、上記3チームに加え、王者チェルシー、リバプール、アーセナル、そして大型補強を敢行した昨季7位のエバートンがしのぎを削るのではないかと期待されていた。”カネと人材”が集まる、世界で最も豊かな国内リーグには、緊迫したハイレベルな競争があってしかるべき。そう考えるファンも多かったはずだが、これまでのところ、水色と赤のマンチェスターの勢いは圧倒的だ。
シティは出だしこそ緩やかだったが、9月上旬にリバプールを5-0で下すと、そこからプレミアとチャンピオンズリーグで6試合連続の無失点勝利を記録。そのうち4試合で4ゴール以上を決めている。ただ、その真価を発揮したのは、インターナショナルウィーク直前のチェルシー戦だったように思える。
昨季のプレミア王者のホーム、スタンフォードブリッジに向かったメンバーには、主将のヴァンサン・コンパニ、チーム得点王のセルヒオ・アグエロ、新加入ながら左SBの定位置を掴んでいたバンジャマン・メンディのレギュラー3人がいなかった。
それぞれに負傷でこの重要な一戦を欠場したわけだが、おそらく指揮官に焦りはなかったはず。複数のシステムを自在に使い分ける46歳のスペイン人監督は、前線と最終ラインの主力の不在には枚数の変更で対処し、レフトバックは汎用性の高いMFファビアン・デルフに任せた。
そして、敵地でもいつも通りにショートパスを回し続け、6割以上のポゼッション率をマークし、後半のケヴィン・デ・ブライネの鮮やかなミドルで1-0の勝利を収めている。同じく策士であるチェルシーのアントニオ・コンテが、今季の新機軸として手応えを感じつつある3枚のセントラルMFをもってしても、シティの創造性を止めることはできなかった。
デ・ブライネとダビド・シルバが美しくゲームをつくり、ガブリエウ・ジェズス、レロイ・サネ、ラヒーム・スターリングといった技術とスピードに優れるアタッカーたちが次々に相手ゴールに襲いかかるさまは、ライバルたちを震え上がらせているはずだ。ボールタッチ、パス、シュートの本数ですべてリーグ1位を記録する”ペップ”のシティは、破壊的な攻撃力を有するものの、その流麗なスタイルから”柔”の印象を与える。
一方のユナイテッドは明らかに”剛”だ。ロメル・ルカク、ネマニャ・マティッチ、マルアン・フェライニといった強くて大きな選手をセンターラインに据え、相手をねじ伏せるようにして勝利を重ねている。2列目のフアン・マタ、ヘンリク・ムヒタリアン、マーカス・ラッシュフォードら技巧派が攻撃のアクセントになっているとはいえ、モウリーニョは彼らのスキルを有効な場面に限って使うことしか考えていないだろう。
吉田麻也もフル出場した6節のサウサンプトン戦では、前半に先制すると、後半にはその3人をベンチに戻して守備的な選手を投入。1点を守りきることを狙った赤い悪魔は、自陣ボックス内に複数の大きな選手を並べて、ひたすらボールを跳ね返し続けた。
それは言葉にすると簡単だが、トップレベルで実践するのは容易なことではないはずだ。運動能力に優れた大柄な選手たちに、片時も集中力を切らさずにゴールを守る術(すべ)を伝授した、54歳のポルトガル人指揮官の手腕と言えるだろう。
ただし、ユナイテッドは今季まだ”真の強豪”と対峙していない。その意味で、今週末に控えているリバプール戦は興味深い。ユルゲン・クロップ監督が指揮するレッズは現在、勝ち点12の7位につけているが、爆発力はプレミアでも屈指。彼らがアンフィールドの大声援をバックに先制すれば、ユナイテッドも打って出るしかなくなる。そして撃ち合いの展開になるようなら、リバプールの得意分野だ。イングランド・フットボールの伝統の一戦は、今回も見逃せないものになる。
シティは週末のストーク戦よりも、来週の平日に予定されているチャンピオンズリーグのナポリ戦が格好のバロメーターになるだろう。戦術家マウリツィオ・サッリが指導するチームは現在、セリエAで無傷の7連勝中で、昨季王者ユベントスを抑えて首位に立つ。しかも得失点差20(25得点5失点)は、シティと同じだ。この絶好調の相手との”水色対決”も実に興味をそそられる。
中断明けから早々に好カードが目白押しの欧州クラブフットボール。もしあなたがニュートラルなファンなら、柔と剛のマンチェスター勢を軸に観ていくのも面白いと思う。