◇米国男子◇ザ・メモリアルトーナメント 事前(28日)◇ミュアフィールドビレッジGC(オハイオ州)◇7569yd(パー…

ジャック・ニクラスが黄色いシャツを着続けた理由とは(Michael Reaves/Getty Images)

◇米国男子◇ザ・メモリアルトーナメント 事前(28日)◇ミュアフィールドビレッジGC(オハイオ州)◇7569yd(パー72)

メジャー史上最多18勝を含む通算73勝のジャック・ニクラスには、あるルーティンがあった。選手時代、大会の最終日には黄色いウェアを着るというものだ。実は亡くなった友人を思い出すためだった。

生まれ故郷のオハイオ州で、ニクラスは通っていた教会の牧師と家族ぐるみの付き合いがあった。1968年のある日、牧師の息子のクレイグさんが骨のがんであるユーイング肉腫と判明する。余命6カ月と宣告された11歳の友人にニクラスは電話をかけ、時にはトーナメントみやげを送った。

優勝したある日曜日、クレイグさんは電話で「きょう勝った理由が分かる?」と言った。理由を聞くと「僕がラッキーカラーのイエローシャツを着ていたからさ」。

「彼が私のためにラッキーイエローのシャツを着てくれるなら、私も彼のために着る」。優勝争いをすればテレビに映る。黄色いシャツを着ていれば、友人へのエールになると思った。

ニクラスは1970年の「全英オープン」(セントアンドリュース)でも、71年「全米プロ」でも最終日には黄色を選び、勝った。クレイグさんが亡くなったのは71年6月7日。友人をしのび、ニクラスは地元の小児病院で1000万人の子どもたちが治療を受けられるよう支援する「Play Yellow(プレー・イエロー)」という慈善活動を、妻のバーバラさんとともに立ち上げた。

ニクラスがホストを務める今大会では毎年、投票によって栄誉ある人物が表彰される。50周年を迎えた今年は大会創設にも貢献したバーバラさんが選ばれた。バーバラさんはニクラスの小児医療財団に2億ドル以上を集めたほか、医療を必要とする人のためのチャリティに600万ドル以上を集めるなど、これまでの慈善活動の功績がたたえられた。ニクラスは2000年にすでに表彰されている。

“帝王”が黄色いシャツを着続けたのは、深い友情があったからだ。(オハイオ州ダブリン/石井操)