大谷をエンゼルス時代にサポートし続けたマッドン氏。球界屈指の智将は、二刀流再起への道をどう見ているのか。(C)Getty…

 

大谷をエンゼルス時代にサポートし続けたマッドン氏。球界屈指の智将は、二刀流再起への道をどう見ているのか。(C)Getty Images

 

 本人の笑顔が目立つ“投球”だった。去る5月25日(現地時間)に大谷翔平(ドジャース)は、実戦形式の「ライブBP」に登板。打者3人に対して、ヒット性の当たりはわずか1本のみという内容で、計22球を投じた。

【動画】何とも楽しそう!大谷翔平が表情豊かにライブBPで投げたシーン

 本人曰く「もう少し抑えながらいけばいいのかな」と多少の力みはあった。それでも23年9月に右肘への手術を執行する前の同年8月23日のレッズ戦以来、実に641日ぶりに立ったマウンドで大谷は、終始笑顔を浮かべていた。キム・ヘソン、JT・ワトキンスコーチ、ダルトン・ラッシングに対して、最速97マイル(約156.1キロ)を記録。そのほかに2シーム、スプリット、スイーパーと主軸となる変化球も試投するなど、手応え十分の一歩を踏み出した。

 もっとも、本格復帰に向けた計画はいまだ不透明のまま。米YouTubeチャンネル『Dodgers Territory』でマーク・プライアー投手コーチも「ショウヘイの場合はすべてが特別。完全なる例外」と言うように、主力打者としての負荷を計算に入れる必要がある大谷の場合、そのリハビリも肘を痛めた投手の“通常”とは異なる。

 そんな偉才の二刀流をいかに再起させるべきか。ドジャース首脳陣が慎重を期する中で、助言を発するレジェンドもいる。かつてエンゼルスで大谷の指導したジョー・マッドン氏だ。

 2020年から約3年間の師弟関係にあったマッドン氏は、大谷の二刀流を確立した実績を持つ。本人の意向に則って制限を設けない起用法によって現球界で唯一無二の才能を開花させた百戦錬磨の重鎮は、現地時間5月28日にMLB公式ネット局『MLB Network』の番組に出演。そこで「彼をどう活用し、投手としてどう戻すべきだと考えますか?」と問われ、「逆算だ。すべてを逆算して考えるべきだ」と断言。そして、持論を続けた。

「私ならワールドシリーズ最終戦の日付から逆算して計算を立てる。ドジャースは昨季にワールドシリーズを優勝していて、ハウスマネーで戦っているようなものだ。もちろん今年も優勝することが目標だろうが、彼のことに関しては、慎重なアプローチが最も必要だと思う」

 さらに「100イニングを基準にして逆算していくべきだ」とも続けるレジェンドは、「1登板あたりで最大でも5イニング、1試合あたり80~100球。多くても85球から100球を前提とすべき」と具体的な考えも明らかにしている。

「そのラインを負担もなくこなせるようになるまでは、彼に無理な登板をさせてはいけない。なぜなら、彼の魅力や価値は打撃面にもあるからだ。もう一度でも腕や肘を故障させては、今度はバットまでも失ってしまう。そんな事態は避けるべきだよ。

 だから、世間でよく言われているような『復帰時期』は信じる必要はない。それは正しくないからね。もしも、シーズン中に復帰を進めていくなら、イニングを逆算した上で、なおかつ6人ローテになることを条件とすべきだ。結果的にシーズン中に間に合わないとしてもそれは問題ない」

 大谷の二刀流をメジャーレベルで活かす術を知り、飛躍させてきたマッドン氏。「何よりも大事なことは来年だ。そこに向けて安心できるように100イニング前後を投げられるかどうかを見定めるべきだ。彼は来年も、その次も、そのまた次の年も、球界に必要な存在だからね」と慮った名将の言葉は、本人やドジャース首脳陣の耳にどう響くだろうか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

【関連記事】“打撃三冠”の大谷翔平は打者に専念すべきか? 元エ軍の名将マッドンが持論「投手として復帰することに敏感」

【関連記事】ド軍を去った2人の影響力…「苦しめることになる?」リーダー“喪失”によるチームの懸念を米記者が指摘

【関連記事】「投手陣崩壊」のド軍、“最強クローザー”獲得への動き トレード期限までに狙う可能性のある「4人の投手」とは