ラグビーのリーグワンは25日、東京・秩父宮ラグビー場でプレーオフの準決勝1試合があり、レギュラーシーズン3位の東京ベイ…

 ラグビーのリーグワンは25日、東京・秩父宮ラグビー場でプレーオフの準決勝1試合があり、レギュラーシーズン3位の東京ベイ(旧クボタ)が同2位の埼玉(旧パナソニック)を28―24で破り、優勝した2季前以来となる決勝進出を果たした。決勝は6月1日、昨季王者のBL東京(旧東芝)と戦う。

■SH藤原、チームの頭脳としての働きみせる

 屈強な選手たちが並ぶ東京ベイの先発15人で、最も背の低い171センチが輝いた。SH藤原忍だ。

 前半10分、キックをチャージすると、自らこぼれ球を拾って中央にトライ。32分にはパスを受けて自身2本目のトライを挙げた。後半には防御陣の裏に蹴られたボールをいち早く確保し、ピンチを脱出。試合を通じ、タックルに恐れず入った。「このプレーを決勝でも続けたい」と本人も納得の出来だった。

 埼玉とは今月3日以来の再戦だった。当時は29―29の引き分けに終わったが、26歳は反省点を口にした。防御を崩せず苦し紛れに蹴って、相手に簡単に球を渡してしまった。ラックで絡まれ、素早い球出しができなかった。

 球に最も多く触れるSHは、SOとともに試合の流れを作る役割を持つ。藤原は前回対戦後、浮き彫りになった課題をチームと共有し、準決勝では効果的なハイパントとテンポの良い配給でリズムを作った。主将のFWファウルア・マキシは「(藤原が)試合をコントロールしてくれた」とたたえた。

 次は2季ぶりの決勝の舞台。前回の決勝で藤原はベンチスタートだったが、この間に日本代表に選ばれ、ニュージーランド代表とも対戦した。「余裕ができて、落ちついてプレーできる」と、成長を実感している。

 速さを前面に押し出していた以前とは、プレーの幅が違う。東京ベイの頭脳として、チームを2度目の頂点に導く。(藤野隆晃)

■スクラムで押された埼玉

 試合終盤、逆転をめざす埼玉は勢いに乗れなかった。東京ベイからスクラムで圧力を受け、連続で反則を犯した。FW戦で優位に立つ戦いをしてきただけに、ショックな敗戦。途中出場し、スクラムの要を担ったFW佐藤健次は、試合後に涙が止まらなかった。リーグワン4季目で初めて決勝に進めず、主将のFW坂手淳史は「反則を取られて試合が難しくなった。またみんなで成長したい」と絞り出した。