大谷と代理人契約を交わそうと奔走していた過去を明かしたボラス氏。(C)Getty Images 世界が震撼した公表だった…

大谷と代理人契約を交わそうと奔走していた過去を明かしたボラス氏。(C)Getty Images

 世界が震撼した公表だった。23年12月に大谷翔平がドジャースと締結した10年総額7億ドル(約1015億円=当時のレート)のメガディールだ。

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 当時に「スポーツ史上最高額」とされた規模もさることながら契約形態も衝撃を呼んだ。「僕の年俸を全部繰り越したら、チームは勝ちやすくなるの?」とドジャースが科せられる“ぜいたく税”を考慮した大谷は総額の97%を後払いにすることを決断。これによって10年間の年俸はわずか200万ドル(約2億9000万円)となった。

「業界でも、これまでにないほどの大きな波紋を広げる契約だった」(ネズ・バレロ代理人談)

 そう言われるほどの契約は、今なお色褪せない。とりわけ球界のありとあらゆる契約事情を知る関係者にとっては「歴史的なもの」として語り継がれている。そうした中で「オオタニに対する評価(契約)は、彼の真の価値に程遠いものだった」と改めて強調したのは、スコット・ボラス氏だ。

 そのキャリアで数々のメガディールを締結させ、フアン・ソトやブライス・ハーパーなどの大物顧客に抱える敏腕代理人のボラス氏は、米ポッドキャスト『In Depth With Graham Bensinger』に出演。大谷とドジャースの契約について先述の持論を語った上で、「彼は間違いなく10億ドルの価値がある選手だ」と訴えている。

「球団の世界的な権利を獲得する上で、彼の評価はまだ証明されていない。だが、オオタニ個人は、それだけの価値を証明している。日本はもちろん、韓国などのアジア市場で2億人を超える人々に影響をもたらしている。スポーツフランチャイズとしては前代未聞な価値を生み出したと思う」

 二刀流スターの秘める稀有な価値にほれ込んでいたボラス氏は、「私は毎年、日本に行ってそれを知っていた。オオタニとも3、4回は会っていた」とも告白する。実際、2017年のオフにメジャーリーグ移籍を決意していた当人と会うために5度も来日。家族や日本ハムの関係者ともコミュニケーションを図っていた。

 それでも代理人契約に至れなかった。ボラス氏は当時の舞台裏を赤裸々に明かしている。

「最終的に代理人を選んだプロセスはよく知らない。だけど、間違いなく言えるのは、彼の両親はとても素敵な方々だったということだ。もちろん本人も素晴らしく、とても礼儀正しかった。それは周りのコーチたちも皆そうだった。

 当時、我々はとても親密だと思っていたが、結局は彼の元所属チームが、その選択に関わっていたことを後から知った。その選定方法は、通常の選手が代理人を選ぶやり方とは根本的に異なっていたから、こちらがコントロールできるものではなかった」

 大谷との契約は交わせなかった。それでも「プロセスとニーズが全く異なっていたってことだ。おそらく日本との往復で15万マイルは飛行したと思うが、彼の投球を見るのは、費やす時間の価値があった」と振り返るボラス氏は、こう漏らしてもいる。

「オオタニは並外れた野球の才能を持っている。毎晩のようにロサンゼルスで彼の試合を見ていると、もしも、彼が我々と共にいれば、もっと(金額的な)違いが生み出せたのかは、簡単に想像できるね」

 もしも、ボラス氏と契約を交わしていたら、どれだけの「価値」が大谷に付いていたのか――。その“世界線”も興味深い。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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