2025年5月14日、川崎フロンターレ対横浜FCの試合がUvanceとどろきスタジアム by Fujitsuでおこなわれた。 試合は2-1で川崎が勝利した。川崎は、「4-2-3-1」のフォーメーションで中盤は三角形を組んできた。横浜FCの…
2025年5月14日、川崎フロンターレ対横浜FCの試合がUvanceとどろきスタジアム by Fujitsuでおこなわれた。
試合は2-1で川崎が勝利した。川崎は、「4-2-3-1」のフォーメーションで中盤は三角形を組んできた。横浜FCのフォーメーションは「3-4-2-1」で3バックの最終ラインとフォワード(以後、FW)がワントップを形成している。
■鹿島戦から「先発5人」変更
川崎はAFCチャンピオンズリーグエリートファイナルズに出場したことで、対横浜FC戦が延期になっていた。それが、この日の試合となった。川崎は、11日におこなわれた第16節の鹿島アントラーズ戦(1-2で川崎の敗戦)からスタメンを5人変更してきた。一方の横浜FCは、10日におこなわれた第16節のアビスパ福岡戦(1-0で横浜FCが勝利)と同じメンバーで臨んできた。
なお、試合を詳細に分析するために、試合のダイジェストにしたがって話を進めていく。読者の皆さんは、以下のDAZN公式ハイライトを見てプレーの詳細部分を確認してほしい。https://www.youtube.com/watch?v=7tp_baz-Q6k
【3分からの先制点の場面】
横浜FCのコーナーキック。川崎は基本マンツーマンに見えるが、家長昭博は誰にも付いていない。家長以外はニアサイドにストーン役(コーナーキックの守備側のチームが、ニアサイドへのボールや低いボールを跳ね返すために配置する選手)が1人と、バイタルエリア(センターバックと守備的ミットフィルダーの間のエリア、転じて「得点につながるプレーが起きやすいエリア」のこと)にいる相手選手を警戒して伊藤達哉をペナルティエリアの真ん中に立たせている。
横浜FCのキッカーは左足からインスイング(ボールの回転によって、ゴールの方向に向かって曲がってくるキック)でボールを蹴ってくる。したがって、ボールがゴールに向かってカーブしてくる。橘田健人と山田新の2人はユーリ・ララを追いかける形になって、付いていけていない。
この場面は、ユーリがフリーでヘディングを決めるのだが、問題はニアサイドでストーン役になっている脇坂泰斗のポジションが前過ぎることにある。左のゴールポストの前くらいに立っていれば、たとえ後ろの味方が相手に振り切られても、フリーで進入されずに済んだはずだ。ストーンの基本的な役割は、ニアサイドにボールを入れられて得点されないように、低い弾道のボールや高い弾道のボールを相手よりも先に触れなければならないのである。
前過ぎるポジションニングだったことで、脇坂はニアサイドに蹴られたボールをケアすることができなかったのである。
■「連戦の疲労か」遅れる寄せ
【12分の横浜FCのカットインからのシュートの場面】
横浜FCの攻撃に対して、川崎の守備は「後追い」するような形になっていた。つまり、横浜FCがパス交換をしていく中で、川崎の寄せが一歩遅れているのである。ボールを奪うことができないのはもちろん、寄せが遅れたことで、横浜FCは足を思い切り振り抜いたシュートが打てていた。
横浜FCの選手にボールを「つけられて」、そして「はたかれて」、シュートシーンまで作られてしまう。これでは、川崎のプレーに「どこでボールを奪おう」という狙いがないように映ってしまう。実際は、おそらく連戦の疲労によって体が重く、頭に体が付いていけなかったのだろう。
■「ミドルパス1本」で局面を打開
【18分の川崎のシュート場面】
この場面は、長谷部茂利監督になってからの川崎の新たな攻撃パターンである。山本悠樹から1本のミドルパスで伊藤が相手ディフェンダーの裏をとって独走する。伊藤のシュートは惜しくもバーに当たって枠に収まらなかったのだが、ミドルパス1本で局面を作るサッカーをやれる川崎は、状況によって多種多様な攻撃ができるチームになってきたと言える。
横浜FCの最終ラインの選手からすれば、山本が蹴ってくるとは考えていなかったのだろう。川崎からすれば、横浜FCは最終ラインを少し高くとっていたので、背後のケアがおろそかになるだろうと読んで、ミドルパスを蹴ってきたとも想定される。こうしたアイデアは長谷部監督の指示なのか、山本が考えてのプレーなのかはわからないが、相手の弱点を突く攻撃だった。
記事後半は、川崎のフリーキックでの同点ゴールの場面から分析していこう。