宇都宮ブレックスは「りそなグループ B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2024-25」の出場順位争いにおいて、レギ…

 宇都宮ブレックスは「りそなグループ B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2024-25」の出場順位争いにおいて、レギュラシーズン最終節で全体1位に浮上した。組み合わせが確定した瞬間、ブレックスファンの中にはこんなことを考えた方もいるはずだ。

 セミファイナルでリベンジーー。

 シーホース三河をホームに迎えたクォーターファイナルは、大事な初戦を93-81でものにすると、第2戦は89-75で制して2連勝で突破を決めた。

 ジーコ・コロネルヘッドコーチ代行は、「選手たちをすごく誇りに思います。この2連戦でもたくさんの学びがあり、ディフェンス面では第1戦よりもチームとしていいパフォーマンスができました。オフェンスに関してもいい時間帯がありましたし、試合を通してゲームをコントロールすることができたと思っています」と総括。

 一方、敗れた三河のライアン・リッチマンヘッドコーチはこんな言葉で宇都宮を称えた。

「ブレックスさんは2試合をとおして素晴らしかった。プレーヤーとコーチ陣が勝利に値するゲームを繰り広げていました。今シーズンはケビン(ブラスウェル)HCが亡くなられるという大変な困難を乗り越えながら戦っていますし、彼らの姿を見て、ケビンHCも喜んでいるのではないかと思います」

 

 トーナメントの隣では、アルバルク東京vs千葉ジェッツの歴代優勝チーム同士が激突。レギュラーシーズン以上の熱戦、あるいは負傷者を抱えるアウェーの千葉Jが劣勢を強いられる展開を予想したファンも多いだろう。

 しかし、いざ蓋を開けてみれば千葉Jの完勝。2試合連続で25点差以上の差をつけ、日環アリーナ栃木でのセミファイナル進出を果たした。

「同じ舞台で、同じ相手にリベンジができることはすごく幸せなこと。もちろん僕らも悔しい思いをしましたけど、やっぱり一番悔しい思いをしていたのはケビンです。ケビンの思いも乗せてリベンジできたらいいなと」

 宿敵とのセミファイナルへ向け、比江島慎はそう口にした。

 昨シーズンのCSでは、今大会と同様にリーグ全体1位でセミファイナルまでのホーム開催権を獲得した。だが、クォーターファイナルで千葉Jに敗戦。第3戦のダブルオーバータイムまで及んだ合計130分の死闘の末に力尽きた。

 ケビンHC体制となった今季の開幕節でも、宇都宮は千葉Jに敗れて連敗スタートを強いられた。それでも比江島は、「早い展開に持っていくことができれば、いいバスケットができています。チームとしてまだまだ共通理解が足りない部分もあるので、そこをしっかりやっていければもっとよくなる」とコメント。

 その言葉どおり、その後はケビンHCが求める堅いディフェンスからハイペースなバスケットを軸に白星を積み重ねた。指揮官との突然の別れに直面しながらもチームは前に進み続け、シーズン終盤には比江島も確かな感触を得た。

「去年とあまりメンバーが変わっていない中で、若手の成長が自分たちの武器になっています。今はいろんなバリエーションで戦えていますし、シュートも打たされてるのではなく、しっかり打ち切ることができていると思っています」

 5月17日、ファイナル進出をかけた戦いがいよいよ幕が開ける。指揮官と同じように、宇都宮のエースも昨シーズンの悔しさを忘れていない。

「去年は(GAME3で)自分が退場してチームに迷惑かけてしまいました。チームを勝たせられなかったことはずっと後悔しているので、よりアグレッシブなプレーをしたいです」

「どこかで見てくれている」(比江島)ケビンHCとともに、BREX NATION一丸ですべてを出し尽くす。

取材・文=小沼克年