5月15日、バスケットボール女子日本代表の宮崎早織(ENEOSサンフラワーズ)が、2025-26シーズンをもって現役引退する…

 5月15日、バスケットボール女子日本代表の宮崎早織(ENEOSサンフラワーズ)が、2025-26シーズンをもって現役引退することを発表した。8月に30歳の誕生日を迎える“笑顔”がトレードマークの司令塔は、日本女子バスケ界トッププレーヤーのまま競技人生に終止符を打つ。

 同日に都内で会見を開いた宮崎は、「私は2025-26シーズンのラスト1年で現役を引退することを決断しました」と冒頭にあいさつ。自ら「この決断に至ったのは、東京オリンピックからパリ(2024オリンピック)まで4年間、全力で駆け抜けてきたんですけど、その後の目標を考えたときに、ロス(2028オリンピック)はちょっと目指せないのかなというのが正直な気持ちで、今シーズンで終わるのが自分のベストのタイミングなんじゃないかなと引退を決断しました」と、来シーズン限りでの引退という決断に至った理由を説明した。

 また、「何かが嫌になったりとかそういうのではなくて、本当に自分が体力もあって元気があるときに潔くやめたいなと思って決めたことなので。家族にも話しましたし、家族は『まだやってほしい』という気持ちがあったんですけど、また次にやりたいことを見つけて明確にしていきたいので、この決断に至ったというのが私の本音です」と、率直な思いを口にした。

 聖カタリナ女子高校(現聖カタリナ学園高校)から、2014年にJXサンフラワーズ(現ENEOS)に入団し11年。国内トップの名門で、長らくポイントガードとして活躍してきた。コートで一際輝いてきた“笑顔”はこの日も健在。会見冒頭で「泣くとかなしにしたいので」といつも通り笑っていたが、「感謝を伝えたい人」を問われた際に涙がこぼれた。

 宮崎は「感謝している人はたくさんいますし、特に家族には一番感謝していますけど」と前置きしたうえで、サンフラワーズ入団のキッカケとなった高橋雅弘氏(元部長)と、入団後に指導してくれた佐藤清美氏(現秋田銀行HC)の名前を挙げながら涙。「マサヒロさんとキヨミさんにはすごく感謝していますね。あの2人の話で泣くのは嫌なんですけど。なんで涙が出てきたのかわからない」と、照れくさそうに涙を拭いながら、「若い頃にたくさんしごいてくれたキヨミさんと、ENEOSに誘ってくれたマサヒロさん。2人が逃げずに前に向かって走り続けるキッカケを作ってくれた」と、恩師への感謝を口にした。

 これで競技人生は残り1年。宮崎は「苦しかったことが9割、楽しかったことが1割」と自身のキャリアを振り返りつつ、「でも、その1割で9割のしんどいことを乗り越えられるのがバスケットの素晴らしいところかなと思いますし、バスケットを通して本当にたくさんの方と出会っているので、私の人生の一部だなと感じています。それがなくなってしまうのは寂しいですし、怖いですけど、勇気を振り絞ってまた次のステップで輝いていきたいと思います」と、前を向いた。

 シーズン開幕前の引退表明となったのは「みなさんと一緒に1年間いい思い出ができればいいな」という全国のファンを思う宮崎流の「恩返し」。体力的には「正直全然やれる」と自信を持って臨む現役ラストイヤーも、チームの先頭をきってコートを駆け抜ける。

【動画】「孤独を感じたこともあった」ENEOS・宮崎早織のPO敗退後会見