メジャー移籍で、なぜ“球速低下”が起きているのか ドジャースの佐々木朗希投手に起きている“異変”に米メディアも懸念を示している。NPB最終年の昨季も球速が例年よりも落ちていたが、メジャーでは100マイル(約161キロ)に満たない試合が続いて…
メジャー移籍で、なぜ“球速低下”が起きているのか
ドジャースの佐々木朗希投手に起きている“異変”に米メディアも懸念を示している。NPB最終年の昨季も球速が例年よりも落ちていたが、メジャーでは100マイル(約161キロ)に満たない試合が続いており、直近登板である9日(日本時間10日)のダイヤモンドバックス戦では、三振を1つも奪えず、直球で1球も空振りを奪えないなど、本来の投球とは程遠い姿となってしまった。
念願のメジャー初勝利を飾った3日(同4日)のブレーブス戦で佐々木は、平均球速が94.8マイル(約152.6キロ)、最速でも96.7マイル(約155.6キロ)だった、さらに、初の中5日登板となった9日(日本時間10日)のダイヤモンドバックス戦でも平均球速は94.8マイル(約152.5キロ)にとどまった。最速は97.5マイル(約156.9キロ)だったが、奪三振ゼロに終わり、空振りを奪ったのはいずれも変化球。5回5失点と打ち込まれた。
この状況に米メディアの間でもさまざまな意見が飛び交っている。地元メディア「ドジャース・ネーション」は9日(同10日)に「ドジャースの投手コーチが、佐々木がもう100マイルを投げない理由を明かす」と題した記事を公開。今オフの佐々木争奪戦では「速球の球速は大きな話題のひとつだった」としつつ、ここ最近の試合では球速が出ていない現状に触れた。
なぜ本来の球速が出ていないのか、同紙はドジャースのマーク・プライアー投手コーチのコメントを紹介。「ロウキが100マイルを投げる投手だということは誰もが知っている」としつつも「彼自身、その球速に到達しようとトレーニングをしていたし、我々もできる限りサポートしようとした。しかし、最初の数試合では、それが制球力に大きく影響してしまったと彼は感じていたんだ」と語っていた。
佐々木は3月に東京ドームで行われたメジャーデビューのカブス戦で、160キロ超えを連発。しかし、制球に苦しむ場面が目立った。同記事では速度を犠牲にして制球を改善することが「今の彼にとっては妥協点かもしれない」と指摘。プライアー投手コーチも「我々は現状を受け入れているという感じだ」と語っていた。
また、スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」も11日(日本時間12日)の記事で、佐々木の速球に言及。「あれは空振りを多く奪えるような軌道ではない」というプライアー投手コーチの言葉を取り上げている。
同記事は、苦しい投球となった9日(同10日)のダイヤモンドバックス戦の内容を「彼の変化球は精彩を欠いた。そして、ルーキーシーズンで初めて中5日で登板した彼は、自身の新たな基準からしても、序盤に望むような球速が出なかった」と指摘。佐々木の速球について「深刻な問題のようだ。最も手っ取り早い解決策は、日本での昨季から既に平均球速が低下していた彼の球速を取り戻すことかもしれない」と提言した。
一方、160キロを連発していた3月のカブス戦については「アドレナリンと力任せの投球で101マイル(約162.5キロ)まで球速を上げたものの、制球力はほとんど伴っていなかった」と辛辣に評価。結局、以前のような球速が出ない原因については「はっきりと特定でない」とし、「その謎はメジャーリーグでも続くことになるだろう」と締めくくっている。
日本でも佐々木の平均球速は、2022年が158.4キロ、2023年は159.1キロと年々球速を上げていたが、2024年は156.0キロと少し落ちた。佐々木はメジャー移籍への交渉期間中に、8球団との面談前に「昨シーズン、日本でなぜ速球(の平均球速)が落ちたか。その原因を突き止め、2度と起きないと保証するためのプランを提示してください」との“宿題”を課したことを米スポーツ局「ESPN」が伝えている。最大の持ち味である佐々木の速球に何が起こっているのか、今後の投球に向けて重大な懸念は残ったままだ。(Full-Count編集部)