カルデナスをドラマチックな展開で葬った井上。(C)Getty Images 世界を熱狂させた激闘からおよそ1週間を迎えよ…

カルデナスをドラマチックな展開で葬った井上。(C)Getty Images
世界を熱狂させた激闘からおよそ1週間を迎えようとする中で、勝者を評価する声は以前よりも強まっている。
現地時間5月4日、ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)は、米ネバダ州ラスベガスで行われたWBA世界同級1位のラモン・カルデナス(米国)との防衛戦に勝利。世界戦通算23KOで歴代最多記録を77年ぶりに更新した。
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まさかのダウンから始まった一戦だった。2回終盤にカルデナスの左フックを被弾し、倒れた井上だったが、4回以降は挑戦者を圧倒。7回から仕留めにかかり、8回に猛ラッシュでTKO勝ちを収めた。
約4年ぶりに舞い戻ったラスベガスの舞台。世界的な熱視線が注がれた中で、これ以上ない試合展開で井上は“魅せた”。そんな絶対王者の戦いぶりは「ボクシングの本場」でも高く評価されている。
日頃から世界各国のボクシング情報を発信する米専門メディア『Boxing Scene』は、読者からの質問に記者が答えるQ&A記事を掲載。ありとあらゆる質問が飛んだ中で「ルイス・ネリ(メキシコ)やラモン・カルデナスのようなB級もしくは、C級の選手にダウンされるのは、決して良いイメージではない。イノウエの限界はすでに見えている」という辛辣な問いかけに反応。回答者となったデビッド・グレイスマン氏はこう切り返している。
「他の誰かをマニー・パッキャオの基準に当てはめるのは、そもそも不公平だ。パッキャオは史上最高のボクサーの一人。だが、ナオヤ・イノウエは今世代最高のボクサーの一人である。そして、それは本当に素晴らしいことだ。
イノウエには多くのヘイトが寄せられているが、その大半は、彼のキャリアを通してボクシングを見続けていない人たちからの声や、そもそも軽量階級を全く見ていないような人たちから寄せられたものだ。そして、イノウエの対戦相手の多くがどれほど優れた選手であったか、そして彼がどれほど印象的な戦いをしたかをよく知らない人たちから意見すらある」

“敵地”となったラスベガスでも大声援を受けた井上。(C)Getty Images
カルデナスをC級と評した読者に投じた「異論」
カルデナス戦を終えてもなお寄せられた“井上軽視”のコメントをキッパリと断じたグレイスマン氏は、「イノウエがこれまでやってきたこと、そして今もやっていることはセンセーショナルだ」と断言。
さらにアドリアン・ヘルナンデス(メキシコ)から、オマー・ナルバエス(アルゼンチン)、フアン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)、ノニト・ドネア(フィリピン)、スティーブン・フルトン(米国)など過去の錚々たる対戦歴を振り返った上で、カルデナスをC級と評した読者に異論を投じた。
「あなたはネリやカルデナスに対する表現は、自己満足であるか、あるいは荒らし行為のようなものだ。カルデナスは決して目立った存在ではなかったが、その実力は認められていた。少なくともあのラスベガスの夜は、彼が人々の予想を上回る実力を示したのであって、イノウエが劣っていることを証明するものではない」
さらにグレイスマン氏は、スーパーバンタム級に上がってから2度のダウンを喫した事実についても「ファイターはミスを犯すものだ」と指摘。あらためてネリとカルナデスを評価しつつ、「優れたファイターの強烈なパンチに無防備になれば、誰もが倒れる。パッキャオもキャリア初期と後期の両方で同じ経験をしていた」と主張。そして、井上がいかに優れた存在であるかを訴えながら持論を結んでいる。
「イノウエの王政は永遠に続くのだろうか? いや、彼も完璧ではない。しかし、誰かがそれを証明しない限り、彼は依然として最強の一人として君臨し続ける。たとえ、そして私は仮にイノウエが負けたとしても、彼のキャリアに対する私たちの見方を遡及的に書き換えることはないだろう」
以前は、懐疑論が少なくなかった米国内でも評価は高まっている。鵜の目鷹の目の米記者が「最強の一人」と評するところに、今の井上の異能ぶりが表れている。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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