■高速カウンターは「全員が分かっていた」【J2リーグ第14節 5月6日 16時06分キックオフ 千葉 1ー2 大宮 国…
■高速カウンターは「全員が分かっていた」
【J2リーグ第14節 5月6日 16時06分キックオフ 千葉 1ー2 大宮 国立競技場】
J2の上位対決を、RB大宮アルディージャが制した。ゴールデンウイーク4連戦の最後となるJ2リーグ第14節が5月6日に開催され、3位のRB大宮は首位のジェフユナイテッド千葉を2対1で退けた。
前半を1対1で終えたRB大宮は、52分に2点目をゲットする。自陣でパスカットしたMF小島幹敏が、そのままドリブルで持ち出す。小島の右にはFWカプリーニが、前方にはFW豊川雄太が、左にはMF泉柊椰がゴールへ向かっていく。4対2の局面だ。
カプリーニは「攻撃の選手たちは、あの形は分かっていた」と言う。カウンターからフィニッシュへ持ち込むパターンは、日々のトレーニングで一人ひとりが身体に刷り込んでいる。千葉の選手が小島を追いかけるものの、小島はセンターサークル手前からペナルティアークまで単独で運び、パスを受けたカプリーニも相対する選手が帰陣する前にシュートへ持ち込んでいた。4人の選手が最短距離でゴールへ向かっていく光景は、「練習は試合のように」というチームのスタンダードがそのまま表われたものだったのである。
カプリーニの右足シュート(クロスのように見えたが、本人はシュートだと話した)は相手DFに当たり、オウンゴールを誘った。千葉からすれば警戒していた形であり、それだけに、相手にダメージを与える一撃でもあった。
■RB大宮はゴール前の攻防に徹底的にこだわる
2対1と先行したRB大宮だが、その後はディフェンスの時間が長くなる。千葉のFWカルリーニョス・ジュニオが2枚目の警告で退場となった72分以降も、千葉に押し込まれていく。
ここでまた、GK笠原昂史が好セーブを見せる。ゴール前では3バックが相手のシュートを懸命にブロックし、急きょ最終ラインでプレーすることになったFW藤井一志も身体を投げ出す。押し込まれて、押し込まれたが、プレー強度を最後まで落とさずに8分のアディショナルタイムも乗り越え、2対1で終了のホイッスルを聞いたのだった。
シーズン中に公開されるRB大宮の練習では、ゴール前の密集を想定した練習が繰り返されている。攻撃側は打ち切って決め切ることに、守備側は守り切ることに、徹底的にこだわっている。
長澤監督もこう語る。
「ペナルティボックスとその周辺でのディフェンスとかボール際は、このチームが大きく抱えていた問題で、ホントに何センチとか、ホントにGKとリンクできなかったのかとか、とにかく毎日突き詰めています。
ディフェンスの選手もそういうのは好きなので、実際に危ないんですけど、最後の最後で(GKとDFが)リンクして半分(シュートコースを)消したりとか、最後のシューターに対して視野に入っていったりとか、かなり高いレベルで追求している集団なので、そういうところが少しずつ実っているのかなと思います」
試合前に8ポイントあった首位・千葉との勝点差は、この日の勝利で「5」に縮まった。シーズン前半戦の重要な6ポイントマッチを制し、RB大宮は3位をキープした。
次節は2位のべガルタ仙台をホームに迎える。仙台は7節から8戦負けなしで、今節は大胆なターンオーバーをしながら藤枝MYFCを2対1で退けている。ここ3試合は連続して複数得点を記録しており、攻撃陣が好調だ。
ゴールデンウイークの4連戦は終了したが、次節も中3日で行なわれる。連戦はまだ終わっていない。
RB大宮の杉本健勇は、千葉撃破後の取材エリアで、「大事なのは仙台戦、もう切り替えて、頭を切り替えないとダメ。次負けたら意味ないんで」と語気強く話した。マン・オブ・ザ・マッチと言っていい働きを見せたGK笠原も、「次も大事な試合が控えている。今日の勝点3が無駄にならないように、しっかりとした結果や戦いを今後も続けていかないと」と、気持ちを引き締める。
長澤監督が「最高強度」と評する仙台とのホームゲームは、どちらも譲れない6ポイントマッチとなる。