WEEKLY TOUR REPORT米ツアー・トピックス 悪天候のため、マンデーまで順延されたウェブ・ドット・コムツアー選手権(9月28日~10月1日/フロリダ州)の最終日、石川遼は「66」をマークして健闘したが、通算9アンダーで同大会…

WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

 悪天候のため、マンデーまで順延されたウェブ・ドット・コムツアー選手権(9月28日~10月1日/フロリダ州)の最終日、石川遼は「66」をマークして健闘したが、通算9アンダーで同大会を40位タイで終えた。

 この結果、来季のPGAツアーの出場権を争う、いわゆる”入れ替え戦”4大会(ウェブ・ドット・コムツアー・ファイナルズ)における石川の総合順位は31位。25位までに与えられる来季シード権の獲得はならなかった。これにより、2013年から本格参戦を果たした石川の米ツアーでの戦いは、ひとまず終止符を打つことになる。

 最後の4戦目を迎えた時点では、石川の総合順位は22位だった。その分、シード権獲得への期待は大きかっただけに、最終戦で後続に抜かれて”入れ替え戦”を突破できなかったことは残念でならない。石川にとっても、相当悔しい結果だったと思う。



米ツアーのシード権を失った石川遼

 初日は10番からスタートして、10ホールを消化した時点では6バーディー、1ボギーの5アンダーと好ダッシュを見せた。しかし、2番パー4でティーショットを左ハザードに入れてダブルボギー。続く3番パー3では2度池に入れて「7」と、この2ホールだけで6打も落とした。そしてそのまま、初日はイーブンパーの94位と出遅れた。

 予選落ちも心配された2日目は、「65」と踏ん張って決勝ラウンドに進出。なんとか最後まで可能性を残したが、3日目に「73」と崩れて、最終日の反撃も及ばずに終わった。

 結果として響いたのは、初日に大きくスコアを落とした2ホールだろう。この2ホールのミスは、この1年間、PGAツアーで戦ってきた石川を表す”縮図”だったような気がする。波に乗っていいプレーが続きながらも、どこかでミスが出て結果を残せない姿を、今季は何度も見てきた。

 それは、やはりメンタル面の影響が大きいのではないだろうか。

「もし初日のプラス4とか、ダブルボギーがなかったとしても、優勝(通算24アンダー)には届かなかった。(自分は)技術的に下手になっている。ゴルフ力、総合力が落ちている。それを認めざるを得ない状況なので、それが非常に悔しい」

 石川は、第一に技術面の問題を挙げる。ただ一方で、こう語る。

「自分の技術、実力をなかなか信じることができず、うまくいかなかったときに、それが(自分の)実力だなって思い込んだ部分があった」

 やはり石川は、心の奥底にあるべき”本当の自信”というものが、どこかで崩れてしまっていたのだろう。思えば、米ツアーに参戦したばかりの頃の、はつらつとしたプレーが最近は影を潜めてしまっていた。

 公傷制度の適用を受けて戦った2016-2017シーズンは、20試合に出場してトップ10入りしたのは、初戦のCIMBクラシックの1度だけ。しかも、シーズン中盤となる5月のウェルスファーゴ選手権から、6試合連続で予選落ちしたのは痛かった。

 記憶に残るのは5月、テキサス州ダラスで開催されたAT&Tバイロンネルソン。強風が吹き荒れて難しいコンディションとなった初日、前半はイーブンと粘り強いプレーを見せていたにもかかわらず、折り返した後半、1オンも狙える11番パー4でドライバーを手にして果敢に1オンを狙ったが、そのティーショットを左の池に打ち込んだ。

 さらに、打ち直しの第3打も右の林に入れてしまい、このホールだけで「8」の大叩き。「(1打目は)すごくいいショットだったけれど、やってはいけないミスだった」と石川は反省しきりだったが、このわずかひとホールのミスが響いて、結局予選落ちとなった。

 まさに今季の石川を象徴するシーン。いい波に乗って爆発しそうなところで、ミスが出て失速してしまう。たったひとつのミスが命取りになる――石川にとっては、そんな1年だったように思う。

「何が怖かったのか。何が不安だったのか。これから探っていかないと見えてこない問題だと思う。やっぱり、自分のゴルフに自信を持つことができなかったんですかね……」

 最後の戦いを終えた石川は、言葉を絞り出してそう語った。

 今後の課題としては、ここまで戦ってきた中で得たものを自分の糧(かて)として、それを新たな”自信”につなげることかもしれない。

 さて、今後の石川だが、米ツアーでは2016-2017シーズンのフェデックスカップ175位という資格で、来季のウェブ・ドット・コムツアー(下部ツアー)のコンディショナル(準シード)を得ている。

 また、日本ツアーでは昨シーズンの優勝によって(※ツアー勝利で2年間のシード権が与えられる)、来季までのフルシードの資格を持っている。それゆえ、当面は日本ツアーに専念。年内は国内の試合に出場し、年が明けて日本ツアーが開幕する4月までは、アメリカに渡ってウェブ・ドット・コムツアーの出場できる試合に参戦する、ということも可能だ。

 石川が今後、PGAツアーに復帰するためには、ウェブ・ドット・コムツアーで賞金ランキング25位以内に入る方法がある。あるいは、日本ツアーで結果を積み重ねて世界ランキングを上げて、メジャー大会や世界選手権シリーズに出場。そこで結果を出して、再びPGAツアーのメンバー資格を得る、という方法もある。

 それらは決して不可能なことではないが、石川は自らのそうした現状をどう捉えているのか。

「環境は変わるけど、コースに出て、いいスコアを目指して戦うのは、アメリカも、日本もまったく変わらない。今、こういう状況になっても、(ウェブ・ドット・コムツアーにしても、日本ツアーにしても)試合に出られるということは、すごく幸せ」

 石川はこのあと、まず10月12日に開幕する日本オープン(10月12日~15日/岐阜県)に出場する。

「日本でできることを、アメリカでも今後できるようにしていくための努力が始まっていくのかな、と思う」

 再びPGAツアーに戻る日を目指して、石川遼の新たな挑戦が始まる。