■身長174センチ「スケールアップを目標に」体重、球速アップ“沖縄のコナン”がチームの窮地を救った。早大の3年生左腕・宮城誇南(こなん)投手は4日、東京六大学野球春季リーグの立大2回戦に先発し、9回116球5安打無失点。リーグ戦初完投を完封…
■身長174センチ「スケールアップを目標に」体重、球速アップ
“沖縄のコナン”がチームの窮地を救った。早大の3年生左腕・宮城誇南(こなん)投手は4日、東京六大学野球春季リーグの立大2回戦に先発し、9回116球5安打無失点。リーグ戦初完投を完封で飾った。チームは3-0で勝ち、このカードを1勝1敗のタイに持ち込んだ。
昨春から2回戦の先発を任されるようになった宮城だが、この日は重みが違った。前日(3日)の立大1回戦は、絶対的エース・伊藤樹(たつき)投手が7回1失点に抑えて降板した後、リリーフ陣が制球を乱し3点リードをひっくり返されて、まさかの黒星を喫していた。
エースが先発した試合を落とした衝撃は大きい。小宮山悟監督は一夜明けたこの日、ボークと3四球で3点を失った越井颯一郎投手(3年)、自身のエラー、死球などでピンチをつくった挙句サヨナラ打を浴びた田和廉投手(4年)をベンチから外し、「ストライクの入らない投手は使いません。打たれたらどうしようという気持ちが勝って、ボール、ボールとなるような投手はね」と断固たる厳しさを示した。一方で、7回115球を投げたエース・伊藤はこの日も志願のブルペン入り。場合によっては3回戦を含め3連投も辞さない決意で、緊急事態に備えていた。
そんなエースの姿に、宮城は「きょうは絶対に負けちゃいけない。今までは樹さん頼みだったけれど、どうにか自分の殻を破りたい」とまなじりを決した。2-0とリードして迎えた4回には、1死満塁のピンチを背負い、7番打者の桑垣秀野外野手(4年)にカウント2-1から4球連続ファウルで粘られるも、8球目のストレートで押し込み、二ゴロ併殺に仕留めて窮地を脱した。「2ストライクを取ってからは全部決め球のつもりで、後悔の残らない球を選んだ中で、最後に真っすぐで勝負することができてよかったです」と口元を綻ばせた。
身長は174センチで、決して大柄ではない。右打者の外角へ逃げていくチェンジアップ、スライダー、カーブ、スプリットを操るが、昨冬は「スケールアップを目標に」トレーニングを積み、フォームを見直した上で投げ込みにも取り組んだ。体重は3〜4キロ増えて80キロとなり、ストレートのMAXも147キロまで上がっている。

■小宮山監督も称賛「コナンに託しておつりがくる投球してくれた」
「前日に勝たなければいけない試合を落とし、“コナン”に託しましたが、おつりがくるくらいのピッチングをしてくれました」。小宮山監督も手放しで称賛する。宮城自身、リリーフ陣にも伊藤にも頼らずに9イニングを投げ切り、「初めて最後まで投げ切ること
ができて、樹さんを休ませることもできてよかったです」と満足気にうなずいた。
沖縄県読谷村出身だが、高校は埼玉の浦和学院に進み、2年生の夏にはエースとして甲子園出場。3年の春の選抜大会ではベスト4入りの原動力となった。早大進学後、昨年は主将の印出太一捕手(三菱重工East)とバッテリーを組んだが、今季は浦和学院高の1年先輩の吉田瑞樹捕手(4年)がマスクをかぶっている。「もちろん印出さんもそうでしたが、瑞樹さんも高校の時と変わらずにコミュニケーションを取ってくださる。投げやすくやらせてもらっています」と先輩を立てる。
両親が「名探偵コナン」を好きだったことと、「沖縄らしい名前をつけたかった」ことから、南を誇ると書いて「コナン」と名付けられた。エースに次ぐ先発2番手が指揮官とチームメートの信頼を勝ち取り、早大は3季連続優勝へ向けて、いよいよ加速していく。