井上の強みをかつてのライバルであるドネアが語った。写真提供:Prime Video、©NAOKI FUKUDA、(C)G…

井上の強みをかつてのライバルであるドネアが語った。写真提供:Prime Video、©NAOKI FUKUDA、(C)Getty Images

 いよいよ待ちに待ったメガマッチのゴングが迫っている。現地時間5月4日、世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)は、米ラスベガスのT-モバイルアリーナで、WBA同級1位のラモン・カルデナス(アメリカ)の挑戦を受ける。

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 井上がラスベガスのリングに立つのは、21年6月のアラン・ディパエン(フィリピン)戦以来となる。しかも、当時は新型コロナの感染拡大によって無観客での開催であったため、今回の一戦に対する関心や期待はかなり大きい。実際、現地時間5月3日に行われた前日計量には200人のファンが集結し、“モンスター”へ熱視線を注いだ。

 ボクシングの本場でも高い注目を集める井上。パウンド・フォー・パウンドでも1位の座を争う男は、いまや世界が「怪物」と評する傑物となった。日本格闘技界でも不出世と言える男の最強たる所以は、かつてのライバルによる“証言”が雄弁に示す。

 過去に唯一、2度も井上と対戦した元世界5階級制覇王者のノニト・ドネア(フィリピン)は、米格闘技専門メディア『Uncrowned』で「イノウエは最高だ」と語った。

 2019年11月のWBSS決勝で井上と初めて対峙したドネアは、フルラウンドに及んだ攻防の末に0-3の判定負け。相手に右眼窩(がんか)底骨折というダメージを負わせたものの、11回に左ボディでダウンを奪われて競り負けた。

 3年後のリマッチでは2回TKOで完敗。その際に勝者となった井上が口にした「ドネアだったからこそ自分はここまで燃えることができた」と語ったように、両雄のライバル関係はファンを大いに沸かせる熱きものがあった。

 自身も6階級を戦ってきた屈指の実力者である。それを凌駕されたドネアは、井上を高く評価する一人だ。『Uncrowned』で井上に勝つために必要なことを問われ、「彼に勝つことは可能だと思う。相手のリズムを崩し、間やパターンを理解しなければならない」と前置きした上で、こう続けた。

「私はディフェンスとハイガードでプレッシャーをかけ、相手を不安にさせようとした。堅実なディフェンスと優れたカウンターパンチ力があれば、勝てる可能性は出てくると思う。ただ、彼には紛れもないパワーがある。あのパンチは、こっちが必死に避けるしかないパンチだ。もしも、一瞬でも集中力が欠けば、相手を眠らせてしまうんだ」

 日進月歩で進化を続けてきた井上を自らの身体で見定めてきたドネア。だからこそ、その賞賛の言葉には、圧倒的な説得力があると言えよう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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