県大会二次予選決勝に勝利、高嶋監督は「まあ、こんなもんですよ」 序盤から点の取り合いとなった秋季近畿地区高校野球大会和歌…

県大会二次予選決勝に勝利、高嶋監督は「まあ、こんなもんですよ」

 序盤から点の取り合いとなった秋季近畿地区高校野球大会和歌山県二次予選決勝は、5-5の同点で迎えた8回裏に3連打などで3点を勝ち越した智弁和歌山がそのまま逃げ切り、8-6で日高中津を下して4年ぶり14回目の秋季県二次予選優勝を果たした。

 9回の守りでは日高中津の粘りもあって2点差に迫られたが、最後はエースの平田龍輝投手が2本の内野ゴロでゲームを締めくくった。「まあ、こんなもんですよ。ストレートを狙われている中で変化球主体に切り替えたのは良かったとして、切り替える時のボールが良くない。キャッチャーのコンピュータが狂っていましたね」と、試合後、高嶋仁監督は思わず苦笑い。初回に5本のヒットを集めて3点を先制するも、3回には4連打で1点差まで詰め寄られた。「ストレートを狙われているのは分かっていたけれど、それでも打たれないストレートを投げられるようにならないと。それでも8回は点を取られても同点に止めればその後は味方が何とかしてくれると思いました」と平田は胸をなで下ろした。

 今夏の甲子園を経験した選手が、この日のスタメンだけで見ても7人も残る。甲子園でホームランを放った冨田泰生や、1年生ながら甲子園で3番を打った黒川史陽など力のあるスイングを見せる打者が勢ぞろい。だが、甲子園出場の影響もあり、新チームのスタートが遅れ、練習試合がほとんどできないまま秋の公式戦に突入した。「もうね、公式戦をやりながら成長していくしかなかったんですよ。夏の甲子園に出るとどうしてもこうなってしまいますからね」と高嶋監督は振り返る。

4月に中谷コーチが加入「野球で生きていくためには野球全体を見られないとダメ」

 それでも二次予選では和歌山南陵、箕島をコールドで下すなど、圧倒的な力で勝ち上がってきた。エースの平田は甲子園の大阪桐蔭戦で6回途中から登板し、2回1/3を投げ1安打の好投を見せたことも自信に繋がっている。以降は、絶対的なエースとしてマウンドを守ってきた。「他にも投手はいますが、平田が急成長したので大事な試合は平田に任せています」と古宮克人部長も話す。

 4月からチームのスタッフに加わった中谷仁コーチの存在も大きい。阪神、楽天、巨人でプレーした中谷コーチは97年の夏の甲子園で全国制覇した際の主将。捕手としても複数の投手を好リードし、優勝に貢献した。中谷コーチはバッテリーを主に指導をしているが、現チームの正捕手・東妻純平に送るアドバイスも生きている。「ピッチャーへの気配りについては一番よくアドバイスをされます。“野球で生きていくためには野球全体を見られないとダメ”と。中谷さんはそこまで気がつくか、って思うほど周囲を見られている。さすがやなって思います」と東妻も大先輩の言葉に心を動かされているという。

 11年夏の甲子園以降、甲子園での白星が遠ざかっていたが、今夏、6年ぶりに1勝を挙げた。だが、春夏計3度の全国優勝を誇る名門として、現状で満足するわけがない。昨秋の近畿大会では初戦で滋賀学園を相手に壮絶な打撃戦の末、6-13で敗れた。その試合にも出場していた主将の文元洸成は「今日は自分のミスから失点してしまいましたが、切り替えることの大事さを感じました。今年こそ近畿大会を勝ち抜いてセンバツに出場したいです」と前を見据えた。

 この日放ったヒットは15本。この秋はエースの平田が安定し、かつて先輩が甲子園で見せつけてきた打棒が復活しつつある。「現時点では智弁和歌山が頭ひとつ抜けている」と県内の関係者がささやいており、かつての常勝時代の雰囲気が漂っている。“豪打・智弁和歌山”の見出しが、今秋以降、幾度メディアを飾ることになるだろうか。(沢井史 / Fumi Sawai)