6月1日、福岡県の香春町体育センターで、日本のプロボクシング界では初めての「母と子の共演」が実現しそうだ。 親子2人で…
6月1日、福岡県の香春町体育センターで、日本のプロボクシング界では初めての「母と子の共演」が実現しそうだ。
親子2人で生きてきた母と息子が、同日、同じリングに上がる。
「調べてみたんですが、世界でも初めてかもしれません」とは母の葉月さな(本名・脇山さなえ)。40歳の元東洋太平洋王者で、海外での世界挑戦2度、23戦のキャリアを持つ女子のトップボクサーだ。
長男が蒼井玲(本名・脇山玲志)。4月のデビュー戦で勝ったばかりの23歳で、今回が2戦目になる。
母は児童養護施設で育ち、出院後の17歳で出産。シングルマザーとして生きてきた。
2人でボクシングジムに通った時期もあった。運動経験すらなかった母は、「背中を見せたい」と30歳でプロデビュー。長男は思春期になるとジムから遠ざかり、その後は船乗りの見習いに。母とは距離ができたという。
一昨年、2人は電話で話をした。「何か頑張らなきゃいけない」「このまま目的もなくダラダラしていたくない」と悩みを打ち明けた息子に、母は本気でボクシングをやってみることを勧めた。
いまは2人でトレーニングすることが多い。同じプロボクサーになり、息子は母親のことをより尊敬できるようになったという。「きついスポーツなんで、10年もやってきたのは人としてすごい。しかも母親をやりながら、仕事をしながらですからね」
母は30代後半になって4連続KO勝ちを収め、倒し屋として開眼した。もう一度、世界戦のチャンスさえあれば、という立ち位置にいる。
同日に試合をするデメリットがあるとすれば、先に登場する息子のサポートができないことだ。「気になりますけど、私は私の準備をします。倒して世界戦をアピールしたい」(伊藤雅哉)