蹴球放浪家・後藤健生は前回、世界のサッカーとビールについて大いに語った。今回は、「まだまだ飲み足りない」じゃなくて、「…

 蹴球放浪家・後藤健生は前回、世界のサッカーとビールについて大いに語った。今回は、「まだまだ飲み足りない」じゃなくて、「語り足りない」ということで、その続編をお届けする!

■買い物帰りの主婦たちと「昼間」から

 さて、もう一つ、ビールの本場で驚いたのは買い物帰りの主婦たちが、買い物かごをテーブルの上に置いたまま、大きなジョッキでビールを楽しんでいる光景。場所は、スロバキアの首都ブラティスラバでした。

 2008年のEURO、ヨーロッパ選手権。スペインが主要国際大会で初めて優勝を飾った大会です。

 スイスとオーストリアの共同開催で行われたこの大会。毎日のようにスイスとオーストリアを往復しながら試合を追っていましたが、苦労したのが物価高。もともとスイスもオーストリアもヨーロッパの中でも物価が高い地域ですが、2008年には円安・ユーロ高に見舞われ、1ユーロ=160円台になっていました。

 レストランで食事をしたら、とても2000円では収まりません。駅のスタンドなんかでケバブを買って立ち食い……。そんな食生活を送っていました。もちろん、ホテル代もかさみます。

 そこで、ウィーンで試合があった日には隣国スロバキアの首都ブラティスラバにホテルを取ったのです。ウィーンからは電車で40分くらいです。そして、そこでは物価がまるで違ったのです。レストランでゆっくり食事をして、ワインやビールを飲む……。夢のような生活でした。

 そして、広場で暖かい日差しを浴びながらゆっくりビールを飲んでいると、周囲のテーブルは買い物帰りの主婦たちでいっぱいだったのでした。

 世界でもビール消費量が最高の国のひとつというのも、うなずけました。

■ケルン「ドーム前広場」で飲みながら…

 2006年のワールドカップは再びドイツで開かれました。すでに、東西ドイツが統一されて15年以上が経過していました。1ユーロは140円台で、2年後のスイスやオーストリアに比べれば、はるかに過ごしやすい環境でした。

 そんなある日、ある雑誌の企画で大住良之さんと対談をすることになりました。場所はケルンのドーム(大聖堂)前の広場でした。13世紀に建設が始まり、19世紀に完成した大聖堂。高さ157メートルの2本の尖塔で有名で、ケルン中央駅の目の前にあるので世界中から観光客が集まってきます。

 その尖塔を見ながら、ビールを飲みながらの対談でした(大住さんはアルコールを飲みませんから、何か他のものを飲んでいたのでしょう)。

■ビックリした「美味しい」フリー

 対談が始まってしばらくたって、ふとビールのボトルを見ると、そこには「Alkohol Frei」という文字がありました。「ノン・アルコール」という意味です。

「えっ、マジ?」

 それまで、まったく気がつかず、普通に「美味しいビールだなあ」と思って飲んでいたのです。まさに、ビックリ!

 今では日本でも「ノンアル」はいくらでも出回っていて、美味しい「ノンアル」を味わえますが、当時の日本では「ノンアル」はあまり見かけませんでした。

 それまで経験したのは、アルコール禁止の中東諸国に行ったときだけ。なんとも不味い飲み物で「こんなものを飲むならミネラル・ウォーターのほうがよっぽどマシ」と思っていたのです。ですから、完全に騙されたこのビールには本当にビックリしたものです。これなら、大住さんも飲めばよかったのに!

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