2025年4月20日、浦和レッズ対横浜F・マリノスの試合が埼玉スタジアム2002でおこなわれた。試合は、3-1で浦和が…
2025年4月20日、浦和レッズ対横浜F・マリノスの試合が埼玉スタジアム2002でおこなわれた。試合は、3-1で浦和が勝利した。浦和は、「4-2-3-1」または「4-3-3」とも言えるフォーメーションで、中盤は三角形を組んできた。横浜は「4-4-2」で、中盤はボックス型である。
■後半から「チアゴ・サンタナ」起用も
浦和は2連勝を飾ったメンバーで臨んできた。「勝っているときはメンバーをいじらないほうがいい」という言葉どおりの起用法である。
浦和の戦い方の理想の形としては、前半を0-0で凌いで後半勝負という展開だろう。まず、そのために必要なものは、組織的な守備の構築である。この横浜戦では、具体的に指摘できるような“意図のある守備”が見られた。
横浜に勝利して3連勝を成し遂げた浦和の残された課題は、後半になって渡邊凌磨、松尾佑介、マテウス・サヴィオらがベンチに退いた後の戦力ダウン感であろう。この問題は、選手をどのポジションで起用するのかにある。
たとえば、二田理央はウイング(以後、WG)で使われているが、松尾の交代要員としてワントップで起用したり、関根貴大はサイドバック(以後、SB)で使われているが、WGとして起用してもいい。また、後半から松尾の代わりにチアゴ・サンタナを出してもいい。「この選手はこのポジションだ」と決めつけないで、もっと選手の適正能力を見極めることも大切なことだろう。シーズン最初に浦和がなかなか勝てなかった理由のひとつは、選手への硬直化した起用法にあった。
では、浦和の攻撃パターンの良いところや守備の足りないところを実際の試合映像とともに解説していくことにしよう。なお、試合を詳細に分析するために、試合のダイジェストにしたがって話を進めていく。読者の皆さんは、以下のDAZN公式ハイライトを見てプレーの詳細部分を確認してほしい。
https://www.youtube.com/watch?v=hAc_u96b3Xk
■遠野大弥のシュートを許した「右SB」
【9分の遠野大弥のシュートまでの場面】
横浜のヤン・マテウスが右サイドから上げたクロスを遠野大弥が左足で合わせるが、ゴールキーパー(以後、GK)の西川周作にセーブされる。
この場面は、浦和の右SBの石原広教がボールウォッチャーになっている。9分25秒の浦和のディフェンスをしている選手たちを見てもらいたい。センターバック(以後、CB)のダニーロ・ボザは、首を振りながら人とボールを捉えている。ボザはマークする横浜のアンデルソン・ロペスにしっかりとついている。ロペスの前に立って、右手を相手に触れながらマークしている。左SBの長沼洋一も、植中朝日に密着して体をぶつけて、必死にケアしている。
しかし石原は、マークするべき遠野を一度も見ようとしないで、パッサーのほうだけを見ている。したがって、遠野がフリーでシュートを打てたのである。相手が「どこに上げてくるのか」と、ボールを見たい気持ちはわかるのだが、最終的には「人」を意識しながらボールと人を同一視野に捉えられる場所に立たないとピンチの場面を作ってしまう。
【前半アディショナルタイムのマテウス・サヴィオのフリーキックの場面】
サヴィオがキックを蹴る瞬間、壁の真ん中にいる浦和の3選手がいっせいにしゃがみ込む。GKの朴一圭は、しゃがんだ浦和の選手の上にサヴィオが蹴ってくると想定したのだろう。しかし、ボールはファーサイドのほうに蹴られて、朴は一歩も動けなかった。
デザインされたフリーキックなのだろうが、横浜の壁の位置にも問題があった。ファーサイドのほうに選手が一歩寄っていれば、サヴィオがあの位置に蹴らなかったのだろうが、結果的に浦和のデザインが優ったゴールだった。
【45分の浦和の追加点の場面】
CBの諏訪間幸成が朴に「来なくてもいい」と合図を送っているので、諏訪間が大きく蹴ろうとせずに体を反転して左SBにボールを送っていれば、なんの問題もないシーンだった。
ただ、スローインと同時に渡邊が決め打ちして走り込んでいたので、追加点を挙げられたとも考えられる。スローターも近くにいる選手に出したほうが安全だったのかもしれないが、横浜にとってはやらなくてもいい得点だったことは確かであろう。
記事後半では、52分からの松尾佑介のシュートに至るまでの場面から分析していこう。