やはりリーグ優勝への道は険しい。現在、単独首位に立つ明大の4カード目の相手は慶大。この日も左腕エース・齊藤大将投手(政経4=桐蔭学園)が先発のマウンドに登った。序盤から毎回のように安打を許すも、要所を抑える投球でピンチをしのいできた。しかし、7回2死から2本の本塁打を浴び、今季ワーストタイの7回4失点で降板した。8回に逢澤崚介外野手(文3=関西)の右前適時打で同点に追い付き、試合は延長戦に突入する。10回のマウンドを任されたのは水野匡貴投手(農4=静岡)。制球が定まらず、4四死球で勝ち越し点を献上した。打線も終盤に粘りを見せたが、あと一歩及ばなかった。

10回に押し出しの死球を与えた水野

 後味の悪い幕切れだった。立大2回戦で約1年半ぶりの完投勝利を挙げた水野。今季は第2先発での起用が多かったが、この日は延長10回にリリーフとして登板した。自身最速タイの148kmをマークしながらも、先頭打者にいきなり四球を与えてしまう。その後も制球が定まらず、二つの四球で2死満塁に。ここで打席に立つのは、7回にソロ本塁打を放っている3番・柳町(慶大)。一打負け越しのピンチにも、攻めの投球を貫く。しかし、これが裏目に出てしまった。内角を突いた変化球が相手打者の足に当たり、あっけなく勝ち越しを許す。最上級生らしい投球からは程遠かった。髙橋裕也投手(総合3=向上)、石毛力斗投手(文1=高崎健康福祉大高崎)らの下級生が8回、9回を0で抑えただけに、その責任は重い。次戦は課題をしっかり修正し、ラストシーズンにふさわしい投球が求められる。

 同点で迎えた9回裏2死一、二塁。一打サヨナラの場面で、打席には途中出場の村上貴哉外野手(法3=松山東)。今季開幕スタメンを勝ち取るも、ここ数試合はバットから快音が聞かれなかった。もう一度巡ってきた、またとないチャンスにも「後ろには3、4番といいバッターが続く。つなぐという気持ちを強く持った」(村上)と、後続につなぐ気持ちで打席に入った。2ボール2ストライクからの5球目。相手の6番手・石井(慶大)の変化球をうまくバットに乗せ、左前に運んだ。3塁コーチが迷いなく腕を回し、二塁走者は本塁へ突入。しかし、左翼手・杉本(慶大)からの好返球に阻まれ、サヨナラ勝ちとはならなかった。チームを救うヒーローにはなれなかったが、早大3回戦以来の1試合複数安打。法大、立大の好投手を打ちあぐねていたが、リーグ戦終盤に差し掛かって、もう一段階調子を上げてきた。この試合計8残塁と勝負どころでの一打が出なかった明大打線。王座奪還のためには、次戦以降も村上の力が必要となる。

バットを折られながらも適時打を放った逢澤

 4番の復調もチームにとって好材料だ。開幕戦から4番に座る逢澤崚介外野手(文3=関西)は、夏季オープン戦で好調を維持していたが、法大1回戦まで打率2割1分4厘。2カードを終えて「自分が一番足を引っ張っている」と語っていた。復調を目指すべく、毎試合ごとに自分のフォームを見つめ直した。今季序盤は「体が開く自分の悪い癖が出ていた」(逢澤)と修正点を見出す。打撃練習でぎりぎりまで体が開かないように、意識的に逆方向に打球を飛ばすことを心がけた。すると結果はすぐに表れ、法大2回戦では右下手投げの長谷川(法大)から、逆方向へ特大の2点本塁打を放った。さらに立大1回戦ではバットが下がらないように右手をトップの位置で残すように修正すると、今季初の複数安打を記録した。持ち前の修正力の高さで、ここ3試合連続マルチ安打、さらに打率を3割3分3厘まで戻した。今季のチームは塁に走者を出すことができているため、逢澤をはじめとする中軸がいかに走者を返せるかが勝利のカギとなる。

 ここで負けるわけにはいかない。リーグ優勝に向けて重要な一戦である明慶1回戦は、両軍合計で40人の選手をつぎ込んだ総力戦となった。主に先発での登板が多い水野、津留﨑(慶大)がリリーフを務めるなど両校の1勝に対する執念が垣間見えた。首位をひた走る明大は総力戦を得意としているだけに、この敗戦は手痛い。「打線はいつも通りつながることができた」(中野)と、決して調子が悪いわけではない。次戦の慶大2回戦も、ここぞという場面での一打が出るかどうかが勝敗を分けることになる。「一人一人が役割を果たして、絶対に勝つという気持ちを持って向かっていく」(竹村春樹内野手・政経4=浦和学院)。この試合の反省を踏まえて、春のリベンジを狙う。

[桐山雄希]