■長崎は3戦連続クリーンシートの甲府の守備を崩せず【J2リーグ第10節 4月19日 14時04分キックオフ 甲府 1ー…

■長崎は3戦連続クリーンシートの甲府の守備を崩せず

【J2リーグ第10節 4月19日 14時04分キックオフ 甲府 1ー1 長崎 JIT リサイクルインク スタジアム】

 今シーズンのJ2は予想がつかない。毎節のように驚きがもたされている。

 4月19、20日に行なわれた第10節では、16位のブラウブリッツ秋田が3位のジュビロ磐田を下した。ここまで3分6敗と勝利のない(昨年8月18日を最後にJ2リーグ戦で勝っていない)19位の愛媛FCが、アウェイでJ1昇格候補のモンテディオ山形を3対2で破った。

 15位のヴァンフォーレ甲府対6位のV・ファーレン長崎戦も、先の読めない展開で進んでいく。開始早々に長崎が先制したものの、15分に甲府が追いつく。前半は1対1で終了した。

 長崎はここまでリーグ2位の総得点を記録している。攻撃力を強みとするチームだが、前節は今シーズン初めて無得点に終わった。今節も2点目を予感させるような場面を作り出せない。

 長崎の下平隆宏監督は、69分にMF名倉巧とFW増山朝陽を下げ、MFマルコス・ギリェルメとFWフアンマ・デルガドを投入する。4―1-2-3のシステムでフアンマを頂点に置き、マルコス・ギリェルメが右ウイングに、マテウス・ジェズスがトップ下のような立ち位置を取る。

 マテウス・ジェズスが3トップ中央に立つそれまでのシステムは、彼が中盤に降りると最前線に誰もいなくなり、相手守備陣への圧力が薄れてしまうところがある。

 そもそも、マテウス・ジェズスはCFではない。相手を背負ってキープできるものの、本来は前を向いてボールを受けることで生きるタイプだ。69分の2枚替えによって、フアンマ・デルガドとマテウス・ジェズス、さらにはドリブルの推進力があるマルコス・ギリェルメの個性を生かせる配置となった。もっと言えば、前半から好クロスを配球している左SB高畑のクロスに、フアンマが飛び込むという形もできた。外国籍選手が「個」で違いを生み出せる環境が整ったのである。

 とはいえ、甲府の守備は整備されてきている。直近3試合連続でクリーンシートを達成しており、この日も守備は固い。長崎は81分にも2枚替えを行ない、90分には長身FW山崎凌吾を投入して圧力を強めたが、2点目を奪うことはできなかった。

■10試合終了時点の勝点の意味とは?

 長崎は外国人選手が個の力を発揮することで、昨シーズンのJ2でリーグ最多得点を記録した。しかし、今季は7節から藤枝MYFC、FC今治、サガン鳥栖に3連敗を喫し、今節は甲府と1対1のドローである。守備時は5バックにもなるチームから、連続して勝点3を逃している。ブロックを敷かれたなかでの攻め筋を、現状では見出せていない印象だ。

 長崎はこれで4試合未勝利となり、勝点15で6位から7位へ順位を下げた。もっとも、現時点での順位はほとんど意味をなさない。6位の水戸から17位の北海道コンサドーレ札幌までの12チームが、1勝分の勝点「3」差でひしめき合っているのだ。

 首位のジェフユナイテッド千葉が9勝1敗の勝ち点27で一歩抜け出し、2位のRB大宮アルディージャが6勝2分2敗で勝点を「20」に乗せているが、2位以下は明らかな混戦だ。前節まで勝利のなかった愛媛といわきFCも勝点3をゲットしており、下位の勝点差も詰まっている。

 今節で10節を終えた。過去5シーズンの自動昇格チームを見ると、もっとも勝点が多いのは22年の横浜FCの「26」だ。以下、23年のFC町田ゼルビアの「23」、24年の清水エスパルスと21年の京都サンガの「22」となっている。横浜FC、町田、清水は10節終了時の順位が1位で、そのまま2位以内を確保した。21年の京都は、2位と勝点3差の3位だった。こうしたデータを見ると、今シーズンの千葉は相応のアドバンテージを得ていると言える。

 他方、10節終了時点でもっとも勝点の少ない自動昇格チームを探すと、23年の磐田が浮かび上がる。3勝4分3敗の勝点13で10位だったのだ。また、20年のアビスパ福岡は、4勝3分3敗の勝点15で9位である。

 23年の磐田は最終的に21勝12分9敗、20年の福岡は25勝9分8敗でフィニッシュした。10節終了時点からの巻き返しは可能だが、自動昇格圏へ食い込むには負け数を抑えることはマストだ。そのうえで、どこかでアクセルを踏み込んでいかなければならない。

 25日開催の11節からは4連戦となる。シーズン序盤のポイントとなるこのタイミング、果たしてどのチームが抜け出すのか。

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