2025年4月16日、浦和レッズ対京都サンガF.Cの試合が埼玉スタジアム2002でおこなわれた。試合は、2-1で浦和が勝利した。京都のフォーメーションは「4-3-3」で中盤は逆三角形。浦和は、「4-2-3-1」または「4-3-3」とも言え…

 2025年4月16日、浦和レッズ対京都サンガF.Cの試合が埼玉スタジアム2002でおこなわれた。試合は、2-1で浦和が勝利した。京都のフォーメーションは「4-3-3」で中盤は逆三角形。浦和は、「4-2-3-1」または「4-3-3」とも言えるフォーメーションで、中盤は三角形を組んできた。
 記事前半に続いて、浦和の攻撃パターンの良いところや守備の足りないところを実際の試合映像とともに解説していくことにしよう。なお、試合を詳細に分析するために、試合のダイジェストに従って話を進めていく。読者の皆さんは、以下のDAZN公式ハイライトを見てプレーの詳細部分を確認してほしい。https://www.youtube.com/watch?v=M4WUIRtVAFs
 記事後半最初に取り上げるのは、23分の浦和のコーナーキックの場面だ。

■力んで撃って「枠を外れる」イメージが…

【23分の浦和のコーナーキックの場面】
 守る京都は、マンツーマンディフェンスで固めている。浦和のコーナーキックはデザインされた攻撃である。ペナルティエリアの左寄りのスペースにキックを蹴っていくのは、なかなか勇気がいる。なぜならば、京都がストーン役にゴールエリアの左角に1人を立たせていたら、簡単にクリアされてしまうからである。
 しかし、なぜそうならなかったのかといえば、金子拓郎が浦和から見たら右サイドに立っていたので、京都の奥川雅也が金子にパスが渡ったショートコーナーを気にして動けないでいたからである。
 マテウス・サヴィオからのパスを、松尾佑介(27)がシュートして先制点を得る。イメージとして松尾は、シュートを打つときに思いっきり足を振って、ゴール枠からボールが外れていく印象が強い。あんなにも力んで撃たなくても良いのに、と松尾のシュートを見て感じていた。
 しかし、前節も今節も、力まずにボールをゴールに入れることに集中して打っていた。実は、プロフェッショナルであっても相手がいる中でのシュートは、決めようとする気持ちから力んでしまいがちになる。このコラムで以前、渡邊のシュートがうまいと書いたのは、渡邊がインパクトを考えて、シュートを打っていることを指している。
 京都の守備は、ディフェンスに4枚いたのに、何人もがスライディングをして、なおかつ股を抜かれてゴールを決められている。
 ここでは、スライディングする必要はない。最初のシュートが一度選手に当たってこぼれたところをクリアしに行ければいいのだが、スライディングしたことで、間に合わなかった。ゴールキーパーの太田岳志も、前に人がいたので見えなかったのだろう。

■問題は「簡単に縦パスを入れられた」こと

【29分のラファエル・エリアスのシュートまでの場面】
 京都の右サイドバック(以降、SB)須貝英大の動きに釣られて、サヴィオがついていく。ここは、左SBの長沼洋一に受け渡しをして、ミドルパスを出す米本拓司の前に立ってプレーを遅らせなければならない。
 サヴィオが須貝について行ったことで、米本はフリーになって余裕をもって前線にパスを出せた。米本のパスを原大智がバックヘッドで流して、ラファエル・エリアスがシュートを打つが、西川周作の右足に当たってクリアされる。
 この場面は、マリウス・ホイブラーテンが両手を広げてアピールしていたように、エリアスが石原を押したように見えたので、ファールをとってもよかったと思った。いずれにせよ、サヴィオが受け渡しをしないで、米本をフリーにしたことが守備に関する問題である。

【53分の京都が同点にした場面】
 京都の左サイドからポケットに縦パスが入る。浦和の選手はお見合い状態になって、相手をフリーにしてしまう。ショートパスを通されて、エリアスがシュートを決める。
 ペナルティエリアにボールを入れられたなら、ディフェンダーはファールになることを恐れて強くはいけない。 センターバック(以降、CB)も、これではサポートに行けない。
 このシーンの問題点は、縦パスを入れられたことである。コラムでも「集中した守備」の必要性に言及してきたが、この縦パスを簡単に入れられるような守備をしていたら、間違いなく失点につながることになる。
 縦を切って横パスを出させるような守備をしなければならない。そのためにも、パッサーにもっと近づいて、激しくプレスに行くべきなのだ。縦を切ったプレスをしていれば、状況はまったく違う展開になっていただろう。

■「油断できない」18位・横浜FMとの一戦

【60分の浦和が逆転した2点目の場面】
 右サイドから松尾がバックパスをする。石原広教に再びバックパス。ボールが下げられたので、京都はラインを上げていく。サミュエル・グスタフソンに横パス。さらにグスタフソンから1人を経由してワンツーパス。京都のCBとSBの間に立っていた渡邊凌磨にパスが出て、シュートを決めた。
 松尾から渡邊への流れは、浦和の素晴らしい攻撃パターンのひとつだ。すべてダイレクトでボールを回すことで、京都の選手はひとり1人にプレスに行くのだが、常に置いていかれる状態になる。そうしたことを繰り返していくと、守備する側のポジショニングにズレが出てくる。
 グスタフソンがボールを受けたとき、2つのパスの選択肢があった。それは渡邊かサヴィオにである。右SBの須貝は、サヴィオへのパスを警戒してケアしようと前に出る。
 最初は1対2だった渡邊と京都ディフェンダーだったが、60分14秒のシーンを見てもらいたい。渡邊とウイリアムは1対1になっている。サヴィオの動きに釣られた須貝が、ポジションを離れてしまったのである。渡邊はインパクトを考えたシュートを打って、ボールをゴールに叩き込んだ。ダイレクトパスの有効性を実証したような攻撃だった。

 4月20日の日曜日には横浜F・マリノスと対戦する浦和。横浜は18位と低迷している。しかし、チームの地力があるので、浦和にとって油断できない。ただ、直近2試合の攻撃のリズムを保って戦えば、3連勝もかなうはずだ。コラムでも指摘したように、細かい守備に注意が必要ではある。

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