「楽天ジャパンオープン」(10月2日~10月8日/日本・東京/ハードコート)の男子シングルス準決勝で、第1シードのマリン・チリッチ(クロアチア)がアドリアン・マナリノ(フランス)と対戦。チリッチは7-6(5)、4-6、0-6とまさかの逆転負…

「楽天ジャパンオープン」(10月2日~10月8日/日本・東京/ハードコート)の男子シングルス準決勝で、第1シードのマリン・チリッチ(クロアチア)がアドリアン・マナリノ(フランス)と対戦。チリッチは7-6(5)、4-6、0-6とまさかの逆転負け。試合時間は2時間42分。

両者の過去の対戦成績はチリッチの1勝0敗。親日家で知られるチリッチは「楽天ジャパンオープン」初制覇を目指していて、今大会どの試合も快勝続きと好調を維持。チリッチは試合前のインタビューで「調子は上々だ。今まで通りのいい試合に努めたい。」と語った。さらにチリッチは、マナリノのことを「とてもトリッキーな選手だ」とも話していた。対するマナリノは、今回が初めての「楽天ジャパンオープン」出場。ベスト8では杉田祐一(三菱電機)との4度目の対決を制しての勝ち上がり。比較的接戦続きのマナリノは、ベスト8試合後の記者会見時には「もう休ませてくれ」と語るシーンもあったという。◇   ◇   ◇

試合は、お互いの持ち味でわずかなチャンスを争う展開だった。

序盤マナリノは、ディフェンシブでいればチリッチの攻撃力にやられてしまうと見てのことか、チャンスがあれば、どんどん前に出てボレーで攻める戦術。すると第3ゲーム、マナリノが40-15と先にサービスブレークのチャンス。しかしチリッチはここから強力なサービスを連発し、先制を許さなかった。チリッチは以前に比べ、制限時間いっぱいにボールをついてからサービスを打つのが特徴。このことについてチリッチは「以前は少し早めに打ち過ぎていた。じっくりコースを考えて、イメージをしてからサーブを打つようにしているんだ」と語っていたという。

第1セットの途中、主審のファーガス・マーフィー(アイルランド)が観客に対し片言の日本語で「はやくお座りください」と注意をし、拍手が起こる一幕もあった。その後も試合はシーソーゲーム、動きがあったのはチリッチがゲームポイント4-3のリターンゲーム。チリッチが大事な場面でギアを一段上げ、サービスをより高い打点で強打。この試合初のサービスブレークを果たす。しかしマナリノも負けずに、直後のゲームをブレークバック。チリッチは今大会自身のサービスゲームを落としたのは、これがまだ2回目。

ストローク戦では攻めても攻めてもしつこく返してくるマナリノに、チリッチはややペースを乱されていた。第1セットはタイブレークまでもつれ込み、途中まではややチリッチが不利なスコアに。しかし、大事な場面で最大の武器であるサービスエースも飛び出し、チリッチは何とか第1セットを先取。

すると第2セット、少し気持ちが楽になったチリッチは、マナリノに攻勢を強める。第1ゲーム、マナリノのサービスゲームにいきなりのブレークチャンス。5回のデュースを経てマナリノが何とかキープしたが、チリッチは第1セットに散々苦しんだ長いラリーでも、得点できるシーンが徐々に増えていった。しかしマナリノは尚もしっかりとついてゆき、第2セット第4ゲーム、今度はチリッチがサービスゲームを6回のデュースを経てキープ。強力なサーブが武器のチリッチをもってしても、マナリノのしぶとさには手を焼いていた。第1セット同様にどちらが先に主導権を握れるか、という緊張感のある展開に。

第2セット第8ゲーム、チリッチは15-40とブレークのピンチ。一時デュースまで戻し粘るも、マナリノに先にサービスブレークを許す。すると、第2セット3-5と後がなくなったチリッチは、直後のリターンゲームで猛攻を見せた。さすがの勝負強さで、即座にブレークバック成功。ところが続く第10ゲーム、チリッチのサービスがマナリノに通用しなくなり、ラブゲームでブレーク。チリッチは今大会初めてセットを奪われる。

勝負は最終第3セットへ、両者は完全にタフな根競べとなった。セカンドサービスは完全に見切ったマナリノに、ファーストサービスで仕留めにかかるチリッチ、お互いの強みが激突していた。そんな中、チリッチは第2ゲームにいきなりサービスブレークされる。これで第2セットから3回連続でブレークされた事になり、サービスが自身のプライドであるチリッチとしては苦しい展開に。

そして第4ゲームでもチリッチはブレークを許しマナリノの4-0へ。攻守の切り替えが完全にはまったマナリノのペースだ。その後もチリッチは最後まで諦めなかったものの、最後は自身のダブルフォルトで敗れた。

第2セット第8ゲームから数えてチリッチはなんと5ゲーム連続で自分のサービスゲームを守ることができなかった。世界屈指のビッグサーバーであるチリッチのサービスを攻略した、マナリノの戦術勝ちともいえる試合だった。

勝者のマナリノは決勝で、先に勝利をしていたダビド・ゴファン(ベルギー)と「楽天ジャパンオープン」初優勝をかけて対戦する。(テニスデイリー編集部)※写真は「楽天ジャパンオープン」準決勝でマナリノに敗れたチリッチ