2025年4月13日、町田ゼルビア対浦和レッズの試合が雨の国立競技場で行われた。試合は、0-2で浦和が勝利した。町田のフォーメーションは「3-4-2-1」のスリーバック。浦和は、「4-2-3-1」または「4-3-3」とも言えるフォーメーシ…

 2025年4月13日、町田ゼルビア対浦和レッズの試合が雨の国立競技場で行われた。試合は、0-2で浦和が勝利した。町田のフォーメーションは「3-4-2-1」のスリーバック。浦和は、「4-2-3-1」または「4-3-3」とも言えるフォーメーションで中盤は三角形を組んできた。
 記事前半に続いて、試合を詳細に分析するために、試合のダイジェストにしたがって話を進めていく。読者の皆さんは、以下のDAZN公式ハイライトを見て、プレーの詳細部分を確認してほしい。https://www.youtube.com/watch?v=whW2gE1U-BI
 では、25分のゴールキーパー(以降、GK)西川周作のロングフィードの場面から分析していこう。

■「うまさ」や「センス」を活かすには

【25分の西川周作のロングフィードの場面】
 浦和のセンターバック(以後、CB)2人が、両サイドに広くポジショニングする。これはビルドアップのために、GKが前にボールを運ぶときのやり方である。そこからGKはボランチにボールを預けたり、自らロングフィードしたりする。
 そうなったときに町田のフォワード(以降、FW)は、西川は左足でキックするので、西川の左側から動きを遮らなければならない。そうしないとロングキックを自由に蹴られてしまうのである。
 前線に2人のミッドフィルダーとワントップを置いている町田は、4バックの浦和に対してプレスでの人数がマッチしない。
 ポジションをズラして人数を合わせる方法もあるのだが、今回の場合、GKにはロングフィードを蹴らせないようにして、近くの選手にボールを預けさせるプレスをしなければならない。実は、この西川のプレーが浦和の2点目の布石になっているのである。
 まず、ロングフィードに対して、ドレシェヴィッチが相手と競っていない。次に、下田北斗が足を上げて雑にボールをクリアしようとしていた。
 その後、この試合トップ下の渡邊凌磨にボールが渡り、1人をかわしてシュートを放つ。惜しくもシュートは、左ポストの脇を抜けていって外れたものの、渡邊のシュートのうまさが垣間見られた瞬間だった。
 33分にも裏に抜けた渡邊が1人をかわしてシュートを打つ場面があった。シュートはGK谷晃生の正面をついたが、これまでのようにボランチで渡邊を使っていたら、シュートのうまさや攻撃センスが活かされないので、もったいない。

■前節から「修正してきた」背番号88

【37分の松尾佑介の追加点の場面】
 GKの西川からのロングフィードを、渡邊が右足で松尾佑介にダイレクトパスをする。そのまま松尾はゴールまでドリブルして冷静にシュートを決めた。
 この場面では、ものすごく興味深いやりとりがあった。37分52秒に西川がキックを蹴る場面を見てもらいたい。
 町田は最終ラインを3枚で守っている。浦和の前線は3トップに渡邊が並び、4枚になっている。西川は、25分の場面でキックをしたときに、町田のフォワード(以降、FW)が厳しくプレスに来ないことを知っていた。したがって、余裕を持って渡邊にロングフィードをすることができた。
 ここでは、町田の3人の守備陣に対して、目の前に浦和の4人の攻撃陣がいる状況。町田は数的な劣勢をどうやってケアするのか。
 一番やってはいけないことは、センターバック(以降、CB)の1人が渡邊をケアしようとポジションを離れることである。そうすると、松尾がフリーになってしまうのだ。ここでCBがやることは、どちらかのボランチを1人下げて、渡邊をケアすることである。しかし、町田がやってきたのは、ボールが渡った渡邊を、1人のCBがポジションを捨てて前進し、ケアしようとした。最悪の選択をしてしまった町田は、松尾のスピードについていけなかった。

 後半に入ってから、互いに何度かチャンスはあったものの、決定機まで至らなかった両チーム。浦和はエースの渡邊をトップ下で今後も起用するべきだし、松尾にはもっと出場機会を与えてほしい。
 前節の福岡戦では厳しい評価を下した長沼洋一(背番号88)だったが、この試合はきちんと修正してきて、最終ラインを意識したプレーに変わっていた。
 4月16日の水曜日に、京都サンガF.C戦を控えている浦和は、町田戦で浮上するキッカケをつかめたのではないか。
 連勝すれば順位はすぐに上がっていく。そのためにも守備時には、集中してプレーすることを期待する。

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