皐月賞で歴代最多の4勝を挙げるM.デムーロ騎手。いずれも印象深いレースばかりだが、ここではちょうど10年前、テン乗りのドゥラメンテで制した一戦を振り返る。 この年の皐月賞は3強ムードだった。1番人気は無傷の3連勝で弥生賞を制したサトノク…

 皐月賞で歴代最多の4勝を挙げるM.デムーロ騎手。いずれも印象深いレースばかりだが、ここではちょうど10年前、テン乗りのドゥラメンテで制した一戦を振り返る。

 この年の皐月賞は3強ムードだった。1番人気は無傷の3連勝で弥生賞を制したサトノクラウンで3.1倍。2番人気は共同通信杯覇者のリアルスティールで3.8倍。3番人気は共同通信杯2着のドゥラメンテで4.6倍。ここから差が開き、デビュー3連勝でスプリングSを制したキタサンブラックが9.7倍で続いた。

 レースは伏兵クラリティスカイがペースをつくった。前半1000mは59秒2。脚質不問の平均ペースだ。リアルスティールは好位直後。サトノクラウンとドゥラメンテの堀宣行厩舎2頭は後方で脚をためた。

 迎えた4角、後方のインにいたドゥラメンテが大きく外に膨れる。サトノクラウンは大外から追い上げを図るが、距離ロスが大きい。早くも先頭に並びかける勢いのリアルスティールから2頭までは約5馬身の差がある。これはセーフティーリードか。そう思ったのも束の間、物凄い瞬発力を発揮したのはドゥラメンテだった。一気に加速するとリアルスティールを並ぶ間もなくかわして先頭へ。ゴール前では早くもデムーロ騎手が左手でガッツポーズ。終わってみれば1馬身半の着差以上の完勝だった。

 デムーロ騎手は03年のネオユニヴァース、04年のダイワメジャー、13年のロゴタイプに続く皐月賞4勝目。武豊騎手などの3勝を上回り、誰もが認める「皐月賞男」となった瞬間だった。