相撲部屋で作られる料理を総称して「ちゃんこ」と呼ぶ。今回は高砂部屋の「肉団子ちゃんこ鍋」を紹介する。元横綱・朝青龍らを輩出した名門には現在、元大関の三段目・朝乃山らが在籍。力士20人超の大所帯で2月に同じ東京・墨田区内に移転したばかりだ。…

 相撲部屋で作られる料理を総称して「ちゃんこ」と呼ぶ。今回は高砂部屋の「肉団子ちゃんこ鍋」を紹介する。元横綱・朝青龍らを輩出した名門には現在、元大関の三段目・朝乃山らが在籍。力士20人超の大所帯で2月に同じ東京・墨田区内に移転したばかりだ。

 真新しい厨房(ちゅうぼう)では大鍋がグツグツと煮えていた。ちゃんこ担当の序二段・朝東(25)が昆布でダシを取り、まずはいちょう切りした大根とニンジンを投下。「ニンジンを入れることでうまみが出る」とこだわりを教えてくれた。

 肉団子づくりは豪快。大きなボウルに鶏ももミンチ6キロ、豚ミンチ2キロ、白ネギなど薬味も加える。ちゃんこ長の三段目・朝心誠(27)が真心を込めてこねる。粘りを出すため「鳥と豚を3対1(の分量)にするのがポイント」。たっぷりのニンニク、ショウガも加える。塩こしょう、味噌、マヨネーズで味を調える。

 手際よく一口サイズの団子にし、休みなく大鍋へ。朝心誠は「肉のうまみがスープに染み出る。肉団子に閉じ込められた味噌とマヨネーズは隠し味になるんです」。続けてエノキ、ニラ、油揚げを入れたら時間いっぱい。締めに小松菜と白菜を加えて完成だ。食欲をそそる約20キロの大鍋を若い衆が稽古場の上がり座敷に運んだ。

 肉団子ちゃんこ鍋が大好物だという高砂親方(元関脇・朝赤龍)は「野菜がとれてバランスがいい」と笑顔。朝乃山も「おいしいちゃんこを作ってくれるとエネルギーをもらえる」と感謝していた。(山田 豊)

 【肉団子ちゃんこ4~5人前】鶏ももミンチ600グラム、豚ミンチ200グラム、大根20センチ、ニンジン小1本、白ネギ1本、ニラ1束、万能ネギ1本、エノキ半パック、しめじ半パック、小松菜半束、白菜4分の1、油揚げ2枚、料理酒、みりん、白だし、昆布、にんにくチューブ、塩こしょう、マヨネーズ、味噌、いりごま、鶏ガラ、本だし

 【作り方】〈1〉鍋に水1リットルと昆布、料理酒100cc、白だし10~20cc。沸騰させ、いちょう切りした大根、ニンジンを入れる〈2〉ボウルに鶏ももミンチ、豚ミンチ、細かく切った白ネギとニラを半分ずつ。さらに万能ネギ半分、ニンニク、塩こしょうを適量、マヨネーズと味噌を大さじ2、いりごまを加え、粘りが出るまでこねる〈3〉鍋に一口サイズにした肉団子、エノキ、しめじ、油揚げ、ニラ、白ネギ、万能ネギを追加〈4〉小松菜、白菜を入れて火を通す。鶏ガラ、本だしで味を調整して完成。