今季は開幕からすこぶる調子が良いイ・ジョンフ。(C)Getty Images 捲土重来を期したシーズンに、“韓国の天才バ…

今季は開幕からすこぶる調子が良いイ・ジョンフ。(C)Getty Images

 捲土重来を期したシーズンに、“韓国の天才バットマン”はロケットスタートを切った。ジャイアンツのイ・ジョンフだ。

 ルーキーイヤーの昨季は無念の怪我に泣いた。23年オフに6年1億1300万ドル(約169億5000万円)というアジア人野手最高額でジャイアンツと契約したイ・ジョンフだったが、開幕間もない5月13日のレッズ戦で外野フェンスに激突して左肩を脱臼。直後に左肩関節唇損傷の修復手術を執行してシーズンからの離脱を余儀なくされた。

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 KBOリーグでの7シーズンで、通算打率.340、同出塁率.407、同長打率.491と好成績をマーク。世間で「韓国のイチロー」と称される打撃センスは球界でも屈指のレベルにはある。だからこそ、これ以上の躓きは許されなかった。

「自分にはなにもかもが足りない」――。そう強い決意でもって臨んだ2年目は開幕から好調を維持。出場11試合で、打率.333、出塁率.375と持ち前の巧打力が復活。さらに二塁打数(7本)はリーグトップで、長打率も.533と向上。OPSも.908とハイアベレージを残している。

 期待外れに終わった1年を取り戻すようにアピールを続けるイ・ジョンフに触発されるように、ジャイアンツも開幕12試合で9勝(3敗)。ナショナル・リーグ西地区首位パドレスと0.5ゲーム差と肉薄している。

 チームを文字通りけん引する26歳には、開幕前にシビアな見解を寄せていた母国メディアも手のひら返しで熱狂する。日刊紙『朝鮮日報』は「ホームランキングが優遇される米球界において、イ・ジョンフは一味違う魅力で席巻しつつある」と断言。走攻守の三拍子が揃ったマルチな才覚を強調した上で、こう続けている。

「彼は今のメジャーリーグで最も求められている選手だ。本塁打こそ少ないが、三振が少なく、コンスタントにインプレーボールを量産し、確実なコンタクト力を発揮する。俊足で盗塁も得意とし、積極的に二塁や三塁を陥れ、チャンスを生み出そうとする。野球にあった走りと巧打の醍醐味を見せつけているからこそ、アメリカはますますイ・ジョンフに魅了されている」

 ここから先の課題は怪我なくシーズンを終えられるか否か。打撃センスは間違いないイ・ジョンフだけに、正念場となるシーズン中番さえ乗り切れば、おのずと声価は高まるはずである。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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