■磐田のクルークスを封じた山形の野嶽【J2リーグ第8節 4月5日 14時00分キックオフ 山形 0ー0 磐田 NDソフ…
■磐田のクルークスを封じた山形の野嶽
【J2リーグ第8節 4月5日 14時00分キックオフ 山形 0ー0 磐田 NDソフトスタジアム山形】
シーズン序盤のJ2は、星の潰し合いとなっている。8節を終えてJ1昇格プレーオフ圏の6位から17位までが、勝点5差でひしめき合っているのだ。
4月5日、6日に開催された第8節では、J1昇格候補のジュビロ磐田とモンテディオ山形が激突した。磐田はここまで5勝2敗の3位、山形は2勝2分3敗の14位である。
どちらも自陣からパスをつないで前進していきたいチームで、質的優位をもたらす「個」を揃える。そのなかで試合の行方に影響を及ぼしたのは、磐田の右MFジョルディ・クルークスと、山形の左SB野嶽寛也のマッチアップだった。
クルークスはクロス総数とドリブル総数で、リーグトップを争う数字を残している。右サイドのタッチライン際で幅を取りつつ、利き足の左足から高精度のクロスを供給していく。
相対する野嶽も、クルークスの特徴はもちろんインプットしている。バトルする場面で激しくプレーし、クルークスに決定的な仕事をさせなかった。磐田はクルークスがクロスを供給できなければ、長身CFマテウス・ペイショットの高さをゴール前で生かせない。前半の磐田がシュート0本に終わったのも、右サイドからの攻撃が機能しなかったことと無関係でなかった。
■磐田の左サイドのマッチアップが白熱
勝敗を分けるマッチアップをもうひとつあげる。磐田の左SB松原后と、山形の右MFだ。
0対0で迎えた64分、山形の渡邉晋監督はMF氣田亮真を下げてMFイサカ・ゼインを投入する。4-2-1-3の3トップ右サイドの交代だ。
同じタイミングで、CFディサロ・燦・シルヴァーノからFW藤本佳希にスイッチもしている。イサカと藤本の起用には、相手の背後を突いていくとのメッセージが込められていただろう。
ここで「受けない」のが松原だ。自らが高い位置を取ることで、イサカを自陣へ後退させる。磐田は73分に左サイドで直接FKを獲得し、そこから決定的なシーンを作り出すのだが、その直接FKは松原に対するイサカのファウルによるものだった。
82分にはイサカがチャンスメイクをする。高江の浮き球のパスに反応して、松原の背中を奪う。ペナルティエリア内右で浮き球をヘディングで落とすと、走り込んだMF坂本亘基が右足で合わせた。決定的と言っていい場面だったが、磐田のGK阿部が好セーブで阻止した。
どちらも自陣からパスをつないでいく狙いを持ち、ロングフィードを織り交ぜるなどの変化を加えながら相手ゴールを目ざした。試合のポイントとなるマッチアップでは、狙いを持ったバトルが繰り広げられた。その結果として、J1昇格候補同士の対戦は、0対0のスコアレスドローで幕を閉じたのだった。
磐田は勝点15から16とし、3位をキープしている。ただ、2位のRB大宮アルディージャに勝点で並んだ。GK阿部航斗、左CB上夷克典、トップ下の角昴志郎が先発に抜てきされた5節から、3勝1分と勝点を重ねている。元日本代表GK川島永嗣に代わってスタメンに名を連ねる阿部は、この日も好セーブで無失点に貢献した。
山形は勝点9で14位のままである。首位のジェフユナイテッド千葉とは、勝点「12」の開きがある。自力でのJ1昇格をつかむには、そろそろ勝点獲得のペースをあげていかなければならない。