【MLBポストシーズン2017】ディビジョンシリーズ展望@ナ・リーグ編 現地10月5日、ついにディビジョンシリーズが…
【MLBポストシーズン2017】ディビジョンシリーズ展望@ナ・リーグ編
現地10月5日、ついにディビジョンシリーズが幕を開けました。ナ・リーグでは東地区1位のワシントン・ナショナルズ(97勝65敗・勝率.599)が中地区1位のシカゴ・カブス(92勝70敗・勝率.568)と、そしてリーグ最高勝率をマークした西地区1位のロサンゼルス・ドジャース(104勝58敗・勝率.642)は西地区2位のアリゾナ・ダイヤモンドバックス(93勝69敗・勝率.574)と対戦することになります。
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※カッコ内はレギュラーシーズン成績。

先発からリリーフに回ることになった前田健太
まず、地区優勝チーム同士の対戦となる「ナショナルズvs.カブス」は、実に見どころの多いシリーズになるのではないでしょうか。今季のナショナルズは4月17日に首位に立ったあとはその座を譲らず、2位に20ゲーム差もつけて地区優勝一番乗りを果たしました。2年連続4度目の地区優勝に導いた原動力は、トップクラスと称されるメジャー屈指の先発3本柱です。
エースのマックス・シャーザー(16勝6敗・防御率2.51)、剛腕スティーブン・ストラスバーグ(15勝4敗・防御率2.52)、そして左腕ジオ・ゴンザレス(15勝9敗・防御率2.96)。3人とも15勝以上をマークし、さらに防御率も全員2点台という成績は特筆ものです。3人は投手主要3部門(勝利数・防御率・奪三振)でほとんどベスト10に入っており、シャーザーは2年連続で奪三振王を獲得しています。
対するカブスは昨季メジャー最多の103勝をマークして世界一に輝いたものの、今シーズン序盤はその勢いがありませんでした。前半戦終了時は首位から5.5ゲーム差の2位。しかし、オールスター後はメジャー2番目の勝率.662(49勝25敗)で勝ち進み、2年連続7度目の地区優勝となりました。
その後半戦で主役を張っていたのは、昨季のような勢いを取り戻した強力打線です。オールスター後はメジャー1位の423得点をマークし、得失点差もメジャー2位(127)。大量得点を奪うだけでなく、相手打線もしっかりと抑える磐石の強さが印象的でした。
なかでも際立った活躍を見せていたのが、主砲のアレックス・リゾ(打率.273・32本塁打・109打点)です。4年連続30本塁打以上・3年連続100打点以上と、今季も安定したバッティングでチームを牽引しています。昨年ナ・リーグMVPに輝いたクリス・ブライアント(打率.295・29本塁打・73打点)は少し成績を落としたものの、デビューから3年続けて150試合以上に出場し、今季は自己最高の出塁率.409をマークしました。2番ブライアント、3番リゾという打線はリーグ屈指の破壊力です。
また、今季も若手打者の台頭に目覚ましいものがありました。ケガから復帰した24歳のカイル・シュワーバー(打率.211・30本塁打・59打点)を筆頭に、25歳以下の選手5人が20本塁打以上を打っているのです。カブスのヤングパワーがナショナルズの先発3本柱を打ち崩せるのか、非常に興味深い対決となるでしょう。
このように「カブスの打撃力vs.ナショナルズの投手力」との構図になるならば、カギを握るのはナショナルズのリリーフ陣だと思います。ナショナルズは過去3回(2012年、2014年、2016年)ディビジョンシリーズを戦いましたが、いずれも勝ち越せずに敗退。しかも、その多くの試合ではリリーフ陣が崩れて負けてしまいました。
その反省を生かすべく、ナショナルズは7月に他球団から一気に3人ものリリーフ投手を獲得。新クローザーのショーン・ドゥーリトル(2勝0敗24セーブ・防御率2.81)を筆頭に、ライアン・マドソン(5勝4敗2セーブ・防御率1.83)やブランドン・キンズラー(4勝3敗29セーブ・防御率3.03)を加え、今年こそ念願のディビジョンシリーズ突破を目指します。
ナショナルズにとって好材料は、ブライス・ハーパー(打率.319・29本塁打・87打点)の復帰でしょう。8月12日に左ひざを負傷して42試合も欠場しましたが、9月26日に戻ってきてなんとかポストシーズンに間に合いました。チームの顔とも言うべき存在だけに、彼の復帰は非常に心強いと思います。
そして我々日本人がこのカードで気になるのは、やはり上原浩治投手(3勝4敗2セーブ・防御率3.98)の調子でしょう。9月2日を最後に登板しておらず、今シリーズに出場できるのかは微妙な状況ですが、2013年にレッドソックスのクローザーとして世界一に輝いた実績と経験は、このポストシーズンでこそ生きるはず。今季ふたたびマウンドに立てることを願うばかりです。
一方、もうひとつのカードの「ドジャースvs.ダイヤモンドバックス」も、見どころは「投vs.打」の対決だと思います。
今季のドジャースは開幕から歴史的な快進撃を見せ、誰もが早々に地区優勝を決めると思っていました。しかしながら、シーズン終盤にまさかの大失速。ロサンゼルスに本拠地を移転してから最長となる11連敗を喫するなど、原因のよくわからない不調に陥りました。ただ、それでも最終的には球団史上2位タイの104勝をマーク。5年連続で地区優勝を果たし、今年もプレーオフに駒を進めました。
「投手王国」と称されるドジャースは、今季もその伝統に恥じぬ好成績を残しています。チーム防御率3.38はナ・リーグ1位。特に先発投手陣は6人も候補がいるほど層が厚く、ディビジョンシリーズではクレイトン・カーショウ(18勝4敗・防御率2.31)、ダルビッシュ有投手(10勝12敗・防御率3.86)、リッチ・ヒル(12勝8敗・防御率3.32)、アレックス・ウッド(16勝3敗・防御率2.72)の4人でローテーションを回して戦う予定です。
そしてクローザーには、今季のセーブ王に輝いたケンリー・ジャンセン(5勝0敗41セーブ・防御率1.32)が君臨。ジャンセンのデータで注目したい点は、41セーブのうち10セーブは「イニングまたぎ」だったという点です。ポストシーズンではそういう状況になることも多々あるので、イニングをまたぐ連投になっても結果を残せる守護神の存在は大きいでしょう。
対するダイヤモンドバックスは、同じ西地区のドジャースに独走を許したものの、9月には球団新記録の13連勝を成し遂げるなど、昨季69勝から今季93勝と大幅に勝ち星を伸ばしました。ワイルドカードゲームでは同じ西地区のコロラド・ロッキーズ(87勝75敗・勝率.537)を11-8で粉砕。6年ぶりにディビジョンシリーズ進出を果たしました。
ドジャースの強力な投手陣に対抗するために、ダイヤモンドバックスは自慢の強力打線で勝負に挑むと思います。主砲のポール・ゴールドシュミット(打率.297・36本塁打・120打点)は今年も健在ですし、26歳のジェイク・ラム(打率.248・30本塁打・105打点)も自身初となる30本の大台を突破しました。「30本塁打・100打点」コンビは球団史上2組目です。
そして忘れてはならないのが、7月18日にデトロイト・タイガースから獲得したJ.D.マルティネス(打率.303・45本塁打・104打点)の存在でしょう。チーム移籍後、62試合で29本塁打・65打点という驚愕の数字を叩き出しました。今季MVP有力候補のゴールドシュミットとともに大車輪の活躍を見せています。
この3人を含めてダイヤモンドバックスには10本塁打以上の選手が10人もいます。これはナ・リーグタイ記録の数字で、どの打順からでも一発の可能性を秘めているチームなのです。
ドジャースにとって今シリーズのカギを握っているのは、エースのカーショウの出来でしょう。これまでポストシーズン通算18試合に登板して4勝7敗・防御率4.55。レギュラーシーズンとは別人のような出来の悪さを露呈してきました。今季投手2冠(勝利数・防御率)に輝いた本来の実力をポストシーズンでも発揮できるかが注目です。
ただ万が一、カーショウの出来が悪かったとしても、その穴を埋めるためにダルビッシュ投手を獲得しました。移籍後は9試合の先発で4勝3敗・防御率3.44と今ひとつの成績ですが、レギュラーシーズン最後の3試合に限れば19イニング3分の1を投げて自責点1。打たれたヒットもわずか9本だったので、徐々に復調してきたと言えるでしょう。
第1戦の先発はカーショウ、第2戦はヒル、そして第3戦にダルビッシュ投手が登板すると発表されました。なぜダルビッシュ投手が第1戦や第2戦で先発しないかというと、第3戦以降は敵地アリゾナでのアウェーゲームとなるからです。ダイヤモンドバックスの本拠地チェイス・フィールドは打者有利の球場で、そういう土地で相手バッターを抑えるためには、まずは剛腕であること、加えて三振奪取率が高いこと。一発の危険性が高いので、いかにバットに当てさせないかが重要となります。つまり、ロードで勝利を収めるためには、まさにダルビッシュ投手が適任なのです。
そしてもうひとりの日本人、前田健太投手(13勝6敗・防御率4.22)はポストシーズンでリリーフに回ることになりました。ただ、先発から外れたものの、前田投手がポストシーズンで大きなカギを握っていると思います。なぜならば、ドジャースの先発4人中、ダルビッシュ投手以外の3人が左ピッチャーだからです。
ダイヤモンドバックスのゴールドシュミットは「ドジャースキラー」と称され、ドジャース戦では通算111試合の出場で打率.310・28本塁打・90打点という好成績を残しています。さらJ.D.マルティネスも「左キラー」として有名で、左の先発投手に対して打率.389。彼らのバッティングが火を噴けば、ドジャースの先発陣は早々に降板させられる事態となるかもしれません。
もしそうなった場合、次にマウンドに立つピッチャーはロングリリーフという役目を託されます。また、相手チームは先発左腕を攻略するために右バッター中心の打線を組んでいるので、リリーフは右ピッチャーのほうが好ましい。となると、そのマウンドを受け継ぐのに、前田投手ほど適したピッチャーはいないのです。前田投手は右バッターに対して被打率.214なので、そういうデータからも非常に重宝されるでしょう。
昨年のリーグチャンピオンシップシリーズには、カブスとドジャースが勝ち上がりました。今年も同じカードになるのか、それともナショナルズやダイヤモンドバックスが名乗りを上げるのか。今年のナ・リーグの覇権争いは例年以上に激しそうです。