全国各地で開催されているマラソン大会。最近は親子で走れるものなど、年齢を問わず楽しめるようになってきました。走る距離や大会規模はもちろん、その特徴まで実にさまざま。しかしいずれの大会も、多くの運営スタッフやボランティアによって企画・運営さ…

 全国各地で開催されているマラソン大会。最近は親子で走れるものなど、年齢を問わず楽しめるようになってきました。走る距離や大会規模はもちろん、その特徴まで実にさまざま。しかしいずれの大会も、多くの運営スタッフやボランティアによって企画・運営されています。

 ここで、マラソン大会運営に欠かせないスタッフやボランティアについて、いくつか具体的な役割をご紹介しましょう。走るだけではない、マラソンへの新しい関わり方が見つかるかもしれません。

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マラソン大会が開催されるまで

 そもそもマラソン大会は、「大会を開催しよう」と思い立ってすぐに実現できるものではありません。例えばコースを決めるうえでも、地図上での検討から試走、そして微調整を繰り返すこととなります。そのためには、給水所の設置場所も合わせて確認する必要があるでしょう。コースが決まったら、警察署への許可申請など手続きが発生します。

 もちろん事前に、どんなコンセプトの大会にするの、詳細を詰めておくことが必要です。全国各地に大会が増えた昨今では、やはり「走りたい」と思えるような大会にしなくてはいけません。自然を楽しんでもらいたいのか、都市部を走ってもらいたいのか……。それだけで、コースは大きく変わるはずです。

 また、規模に応じて協賛を募ることもあります。大会概要などをまとめて資料化し、協賛メリットのありそうな企業等へ打診。多くの場合、対面での提案に向かうこととなるでしょう。もちろん大会運営にどれだけの費用が伴うのかを事前に算出し、協賛によって賄える部分を踏まえたうえで、エントリー費を含めた募集要項も決定していくこととなります。マラソン大会は、当然ながら赤字では運営できません。一度の開催で終わってしまわないためには、そうした資金繰りがとても大切です。

 少々ざっくりとしたご紹介ではありますが、現場では大会が実現するまでの間、実にさまざまな調整・検討が行われます。そもそも実行委員を組織し、役割を決めるだけでも一苦労。給水所で何を提供するのか、ボランティアスタッフは何名必要なのか、あるいは記録計測の方法はどうするのかなど、決定すべき事項も山ほどあるのです。ランナーとして参加する立場では、あまり見えない部分でしょう。しかしこうした苦労があればこそ、大会という場が生まれていることを忘れてはいけません。

大会を支えるスタッフ&ボランティアの役割

 それでは大会開催にあたり、どのような役割のスタッフおよびボランティアが動いているのでしょうか。大会によって多様ではありますが、ここでは代表的なものを5つ取り上げ、ご紹介します。

1.受付

 最近はゼッケン等を事前発送し、受付不要という大会が増えてきました。しかし受付が必要な場合には、当然ながら参加者の対応を行うスタッフが必要です。受付に訪れたランナーについてゼッケン番号や氏名を確認し、チェックしたうえでゼッケンや参加賞等を渡す。場合により、その後の手続きや荷物預かりなどの動き関する説明も担います。

2.荷物預かり/返却

 自宅からよほど近くで開催されていない限り、ランナーは荷物を持って会場をお訪れます。そのため、ほとんどの大会では荷物を一旦預かり、ゴール後に返却することとなるでしょう。荷物に付けられたシール等の番号と本人のゼッケンを照合し、適切な場所に保管する。さらにスタートとゴールで場所が異なる際には、トラックで運搬します。その際、ゴール後の返却がスムーズに行えるよう、整理して並べ直すといった対応も必要です。

3.コース誘導

 いくら交通規制を行った大会でも、何らかの要因からランナーが道を間違えてしまう可能性は拭えません。また、知らずに訪れた車や歩行者に事情を説明し、迂回してもらうといった対応も必要です。中にはランナーが通らないタイミングを見て、歩行者を通過させる大会もあります。ランナーが間違いなく安全に走れるよう、コース上には至るところに誘導スタッフが配置されているのです。

4.救護

 熱中症や脱水、あるいは怪我など。どれだけ練習を積んでいても、“万が一”の事態が起こります。そうした際、速やかに応急処置を施してくれるのが救護スタッフです。AEDをはじめとした救護グッズを持って自転車・車で移動したり、給水所やゴール地点にテントを設置してスタンバイしたり。中には、一緒に走るメディカルランナーを配置している大会もあります。

5.給水

 長い距離を走れば、たとえ寒い時期でも汗をかきます。体内の水分が不足した状態では、高いパフォーマンスは発揮できません。もちろん、熱中症や脱水などの危険もあるでしょう。ランナー全員が十分に水分を補給できるよう、数km毎に給水所を設置し、それぞれ大勢のスタッフが対応しています。もちろん水分だけでなく、大会によっては食べ物を提供していることも。提供物が増えれば、それだけスタッフも多く必要です。

 そのほか、決められたゴールタイムで走るペーサーや最後尾を走るスイーパー、ゴール後にタオルやメダル等を渡してくれる方など、マラソン大会は多くの人に支えられて成り立っています。一度、スタッフやボランティアとして大会に関わってみるのも良いでしょう。大会を走れることへの感謝が生まれるとともに、違った楽しみ方が見つかるかもしれません。

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[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。3児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表
【HP】http://www.run-writer.com

<Text:三河賢文/Photo:Getty Images>

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