◆明治安田J1リーグ▽第9節 広島2―1C大阪(6日・エディオンピースウイング広島) 【関西サッカー担当・森口登生】歯がゆさが残る一戦だった。C大阪は、試合前の時点で天皇杯、ルヴァン杯を含めて8試合続けて白星がなかった広島相手に幸先よく先取…

◆明治安田J1リーグ▽第9節 広島2―1C大阪(6日・エディオンピースウイング広島)

 【関西サッカー担当・森口登生】歯がゆさが残る一戦だった。C大阪は、試合前の時点で天皇杯、ルヴァン杯を含めて8試合続けて白星がなかった広島相手に幸先よく先取点を奪ったが、逆転を許し今季初の連勝を逃す結果となった。

 前半15分、FWチアゴアンドラーデからMF北野颯太、中へのクロスにFWルーカスフェルナンデスと、鮮やかな崩しで先取点を奪った。3分後にワンチャンスをものにされて同点に追いつかれたが、それ以外は申し分ない立ち上がりだった。

 得点シーンでチアゴがボールを受ける1つ前、DF登里享平からボールを受けたMF中島元彦が相手DFを背負いながら振り切った。そこからチアゴにパスが通ったように最終ラインからのビルドアップや、細かなパス交換から多くの選手がゴール前に顔を出していくシーンが目立つ。なかなか勝ち点3をつかめずとも貫き続けてきた今季の「超攻撃的」なスタイルが1試合ごとにより洗練されている印象を受けた。前半を終えた時点でシュート数はC大阪が10本で広島が2本。C大阪の選手たちも手応えを得ていたことに加え、岡山、川崎と並んでリーグ最少失点を誇る広島のミハエル・スキッベ監督が「前半はセレッソが握った試合。素晴らしいゴールを決められた」と認め、元日本代表DF塩谷司も「こちらがどうこうというよりもセレッソが素晴らしかった」と言うほどだった。

 後半戦は16分から浦和から新加入のMF本間至恩も投入した。移籍後初出場で左ウイングに入り、同サイドでのドリブルから中央に進入してチャンスを演出。「入ったばかりだけれどみんなうまいので。細かいところとかビジョンとかは監督のサッカーがしっかりしているから、ある程度分かっている」と周りと連携しながらゴールに迫るシーンも見せた。守備に回る時間が前半よりも多くなったものの1―1と粘っていたが、迎えた後半41分、相手のロングスローから最後はDF荒木隼人に決められて決勝点を許し、黒星を喫した。

 3月8日の第5節・名古屋戦(1△1)で追いつかれたのが後半40分。第7節の浦和戦(1△1)での同点弾献上が同38分。そして今回の広島戦と、あと一歩のところで失点する状況が続いている。先取点を挙げたルーカスは「もちろん最初から最後まで集中することが大前提だが、ラストの数分間は特に高い集中力が必要になってくる。ただ、これもサッカーの一部。同じ時間帯で自分たちが得点する場面もこれからあるだろうし、どちらに転がるが分からない中で、できるだけ得点を増やして失点を減らしていくことが大事」と自覚する。北野は「攻撃の選手からしてみれば、追加点は間違いなく必要。もちろん失点するつもりではないが、それ以上に得点を取りたいと個人的には思っている。そうじゃなくても岡山戦のように守り抜く力も両方つけなければいけない」とした。

 うまく試合を「締める」、追加点を「取りきる」。よりどちらにフォーカスしていくのかは、試合後のアーサー・パパス監督の「引き分けに持ち込む試合というよりかは最後の最後のメンタリティーをどう強化していくか」との言葉に詰まっているように感じる。続けて指揮官は「『粘り強く戦うチーム』から『勝ちきるチーム』になるためには大きなステップといろんな要素が必要。セレッソが上位に入るチームを目指すのであれば最後の最後のメンタリティーは強化していく部分かなと思う」とし、何度も「メンタリティー」という言葉を強調した。試合を重ねるごとに、「やりたいこと」の浸透度が増してきていることは言うまでもない。あとはメンタルなのか、または試合を締めにかかるべく他の要素が必要なのか。歯車がかみ合えば上位に食い込んでいけるチームだと思えるからこそ、打開の1勝を期待する。