ロサンゼルス・レイカーズは、プレーオフのストレートインに向けて熾烈な権利争いの最中にある。選手個人のレベル、チームのムード、…

 ロサンゼルス・レイカーズは、プレーオフのストレートインに向けて熾烈な権利争いの最中にある。選手個人のレベル、チームのムード、経験とリーダーシップ、そのどれを取ってもこの西海岸の球団は優勝に値するレベルにあるが、課題をひとつ挙げるのであれば、センターの層の薄さにある。

 ルカ・ドンチッチ獲得の代償として、レイカーズはアンソニー・デイビスを失った。戦力としてカウントできる純正センターはジャクソン・ヘイズのみとなり、より過激さを増すポストシーズンにおいて、スモールラインアップの使用回数が増えるのは明白な状況だ。

 しかし、JJ・レディックHCは八村塁に絶大な信頼を寄せており、スモールセンターとしての役割を全うしてもらうつもりのようだ。

 レディック監督は、八村がスモールラインアップに“欠かせない存在”であることを強調し、その理由を3つに分解して解説した。

「まず第一に、彼の優れた恵まれた体格から言及します。彼がいなければ、そもそもスモールラインアップを構成する人数が足りない。これが現実です」

 冬にインサイドの穴を埋める存在としてアレックス・レンを獲得したレイカーズだが、同選手は3月下旬以来、7試合連続でプレータイムがなく、チームから信頼を得られていない。また、守備力に定評のあるジャレッド・バンダービルトやドリアン・フィニー・スミスもフィジカルの強靭さでは八村に劣る。

 レディック監督が、ディフェンス面で八村を高く評価する理由には、マークする対象を選ばない万能さにある。

「第二に、シーズンの早期段階において、我々と彼にとってのディフェンス時における最善策が彼にスイッチしてもらうことだと気付きました。スイッチするグループが何であっても、彼はそのグループの一員となれるのです。小柄な選手のガード、大柄ウィングのガード、ビッグマンのガードのいずれであっても、うまく切り抜けてきたのではないでしょうか。すなわち、彼のスイッチディフェンスの適応力が、スモールラインアップに欠かせない存在であることの大部分を占めていると言えます」

 レイカーズは一貫して、それまでオフェンスに定評のあった八村のサイズとフィジカルを高く評価してきた。サンプルは決して多くはないが、八村はここ数年、プレーオフでスモールセンターとしての役割を全うしている。デンバー・ナゲッツとの対戦では、3度のシーズンMVP受賞者であるニコラ・ヨキッチと対峙し、サイズ、パワー、機動力を兼ね備えたディフェンスでジョーカー封じの解決策となってみせた。

 そして、最後の理由には、現役時代のレディック監督の代名詞が挙げられた。

「また、彼はレーザーでもあります。シュート精度が本当に高い。先日のインディアナ・ペイサーズ戦でのシュート、メンフィス・グリズリーズ戦でのビッグショットなどを含め、彼はシーズンを通して良くなっているように感じます。(アシスタントコーチの)ボー・レベスクは、フィルム分析やプレーヤーディベロップメントで彼をうまく指導してくれました。クローズアウトに対してドライブを仕掛け、アドバンテージが生じたら正しい判断をしています。ペイントエリアでの判断、リムアタック、キックアウトパスでも正常を見せていますね。今年の彼はこれらの点で成長し、今に至るまで本当に良い状態にあります。我々がレーザーラインアップを組んでいるとしましょう。それは3ポイントシュートを打つためだけではありません。ビッグマンをバスケットから遠ざけるのです」

 八村はオースティン・リーブスと同様、レブロン・ジェームズとルカ・ドンチッチのデュオを支える重要な戦力として、そのポジションを確立した。その証明として、勝利への貢献度を示すウィンシェアの項目では、チームで4番目に高い数値を記録。3ポイント成功率ではチームトップの41.4パーセントをマークしており、これは200本以上の試投数のある選手に限定したリーグ全体ランキングでも19位の成績だ。

 八村は今年もレイカーズのXファクターとして、躍進の重要なパートを担うことになる。

文=Meiji

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