◆柔道 全日本選抜体重別選手権 最終日(6日・福岡国際センター) 男女計7階級が行われ、女子70キロ級で優勝者なしという異例の出来事が起きた。田中志歩と寺田宇多菜(ともに26)のJR東日本所属選手同士との顔合わせとなった決勝では、互いに決め…

◆柔道 全日本選抜体重別選手権 最終日(6日・福岡国際センター)

 男女計7階級が行われ、女子70キロ級で優勝者なしという異例の出来事が起きた。田中志歩と寺田宇多菜(ともに26)のJR東日本所属選手同士との顔合わせとなった決勝では、互いに決め手を欠き、指導3による両者反則負け。1966年の第1回大会(女子は78年)から初の優勝者不在となった。男子100キロ級では、昨年の世界選手権銅メダルの新井道大(20)=東海大=が、大会前にノロウイルスに感染するアクシデントをはね返し、初優勝を果たした。

 会場はまさかの結果に騒然となった。田中と寺田のJR東日本の同学年対決となった女子70キロ級決勝。手の内を知る者同士だけに互いに組み合わず、膠着(こうちゃく)状態が続いた。2分足らずで互いに指導2つを受け、後がない状態に。ゴールデンスコアの延長戦に入っても決め手を欠き、4分19秒が経過したところでお互いに3つ目の指導。両者反則負けとなった。

 結果は両者2位の扱い。優勝者不在は、全日本選抜体重別選手権初の珍事となった。2人は2022年の決勝でも対戦。前回勝利した田中は「お互いに手の内が分かっているので、やりづらかった。負けた感じがしない。優勝したかったが複雑」と首をかしげた。両者に銀メダルが掛けられた表彰式でも、当然ながら浮かない表情だった。

 寺田も「組み手でお互いにいいところを持てなかった。悔いが残る」と唇をかんだ。なお同大会では22年に男子100キロ超級準決勝で斉藤立と太田彪雅が両者反則負けなどの例もある。(三須 慶太)