◇J2第8節 札幌1-0徳島(5日、大和ハウスプレミストドーム) 徳島戦の勝因の1つは、本来ボランチの高嶺を左サイドバックで使った点にある。彼はボールを、前に蹴ることができる場所に置いてプレーできる。これまでは近くにいる選手しか反応しない試…

◇J2第8節 札幌1-0徳島(5日、大和ハウスプレミストドーム)

 徳島戦の勝因の1つは、本来ボランチの高嶺を左サイドバックで使った点にある。彼はボールを、前に蹴ることができる場所に置いてプレーできる。これまでは近くにいる選手しか反応しない試合が続いたが、長いパスを出せる高嶺がいることによって、一番遠くにいる右サイドの選手の動きが活発化した。そうなると相手DFも対応せざるを得なくなるため、(得点が生まれやすい)バイタルエリアが空き、シャドーの選手が生きた。

 得点シーンも見事だった。途中出場で左クロスからアシストした長谷川は、足元でしっかりとボールを受けながら、高い質のパスを提供した。彼のようにジョーカー的な役割ができる選手がいるのは今後の戦いへプラスとなっていく。また頭で決めた家泉は、外でもらう動きをしながらニアに入り、再び外に逃げてから真ん中で叩き込んだ。FW顔負けの動きをしていたからこそ、決定的仕事ができた。

 気になったのはバカヨコの対処法。彼は高いボールが来ると、普通に競り合いにいく。体が強いから先に触れるという自信があるのだろうが、日本のDFは相手が跳ぶ前に体を当てるなど駆け引きがうまいから、190センチの身長でも競り負けてしまう。ボールが来た時、まずは相手の体に当たることを意識してほしい。接触することで相手がどの方向にパワーをかけていくか知ることができる。柔道と同じ原理を使って相手の矢印が分かれば、逆を取ってターンしたり、ボールの勢いを生かして抜け出すこともできる。練習からそういった細かい点を徹底していけば、無双できるだけの力はある。(吉原 宏太、1996~99年札幌FW)