◆明治安田J1リーグ▽第9節 町田2―2川崎(6日・Gスタ) 9試合が行われ、昇格1年目の昨季に3位と健闘した町田が、川崎との上位対決に2―2で引き分け、勝ち点17で今季初めて首位に浮上した。黒田剛監督(54)の下、球際の激しさは健在で、ロ…

◆明治安田J1リーグ▽第9節 町田2―2川崎(6日・Gスタ)

 9試合が行われ、昇格1年目の昨季に3位と健闘した町田が、川崎との上位対決に2―2で引き分け、勝ち点17で今季初めて首位に浮上した。黒田剛監督(54)の下、球際の激しさは健在で、ロングスローから同点弾を奪うなど特徴を発揮した。1試合消化の少ない広島はC大阪に2―1で逆転勝ちして同17とし、総得点差で2位に浮上。鹿島は本拠で京都に3―4で屈し首位から3位に後退。リーグ記録のホーム連続負けなしは「27」で途切れた。

 町田は終盤の川崎の猛攻撃を全員でしのぎ、貴重な勝ち点1を手にした。試合終了の瞬間、死力を尽くした両軍選手はピッチに膝をついた。試合前は10位までが勝ち点5差でひしめく大混戦の中、今季初めて首位に浮上した。黒田監督は「昨季1―4で(川崎に)負けた悔しさを持って熱い気持ちで戦ってくれた。最後は身をていし、ホームで勝ち点1を獲得できたことはポジティブに捉えたい」とうなずいた。

 1勝2敗で2月を終え、3月以降は4勝2分けの6戦負けなし。1点を追う前半34分に、得意のロングスローからDF岡村が混戦から左足で同点弾。後半8分にはFW相馬の右クロスに中央で今季補強したFW西村が頭で合わせ、自身4得点目となる逆転ゴールを決めた。前節まで7戦3失点と堅守を誇る川崎から、今季初めて複数得点をもぎ取った。

 昨季は5月から約4か月間、首位を走った。終盤戦で勝ち点を伸ばせず3位に終わったが、指揮官が掲げた「負けないサッカー」をベースにJ1最少の失点数34の堅守で、史上初のJ1初昇格初優勝に迫った。

 194センチと高さのあるFW呉世勲(オ・セフン)に、相馬は突破力、得点への嗅覚に優れた西村と、前線3枚の個の力はJで突出したレベルだ。前半28分には左サイドをえぐった相馬の折り返しを、呉が無人のゴールへシュートミスする悔やまれる場面もあった。主将の元日本代表DF昌子は「負けないサッカーではなく、どういう試合であろうと勝ちきる。今日なんて逆転しているわけだから」と、首位浮上にも満足しない姿勢を示した。

 昨季は夏場に最大で勝ち点5をリードしながら、突き放せなかった反省もある。指揮官のパワハラ報道と、ピッチ外の騒動で揺れるクラブだが、戦い方にブレはみじんもない。貪欲に勝ち点を積み重ねていく。(岩原 正幸)