「広島8-7DeNA」(5日、マツダスタジアム) お祭り騒ぎじゃ!広島の田村俊介外野手(21)が、延長十一回にプロ初アーチとなる代打サヨナラ本塁打を放ち、球団史上初となる偉業を達成した。山崎の直球を右中間席へズドン。歓喜のウオーターシャワ…

 「広島8-7DeNA」(5日、マツダスタジアム)

 お祭り騒ぎじゃ!広島の田村俊介外野手(21)が、延長十一回にプロ初アーチとなる代打サヨナラ本塁打を放ち、球団史上初となる偉業を達成した。山崎の直球を右中間席へズドン。歓喜のウオーターシャワーを浴び、新井貴浩監督(48)と熱い抱擁を交わした。チームは今季初連勝で、3カード目にして初の勝ち越し。劇的な勝利で、勢いに乗っていく。

 3時間58分の激戦に、一振りで決着をつけた。田村が放った打球が右中間席に着弾すると、本拠地が揺れた。殊勲のヒーローは大歓声を背に受けながらダイヤモンドを一周し、ホームで待つ仲間たちの元へ、最高の笑顔で飛び込んだ。プロ初アーチは、試合を決めるサヨナラ本塁打。「なかなか打てなかったので…。お待たせしました!」とお立ち台で絶叫した。

 延長十一回。先頭の代打で起用された。この回から登板した山崎が投じた初球。「『こういう軌道かな』と描いた通りにきた」と、真ん中高めの直球を迷いなく振り抜いた。プロ初本塁打が代打サヨナラ本塁打となるのは、球団史上初の快挙。「あの場面で打てたというのは、これからの自分にも強みとしてつなげていける」と力強くうなずいた。

 新井監督が選手に求める“強さ”に対して、必死に応えてきた。2月の春季キャンプ中には、走塁中に左手中指を骨折したが、数日後には練習に合流。3月のオープン戦では39度の熱を出し、復帰まで2~3日かかると診断されるも、翌日には代打で試合に出場した。「チャンスはずっともらえるわけじゃない。やっぱり若い選手がガツガツやっていかないといけない」。歓喜のウオーターシャワーを浴び、ずぶぬれになった直後、起用し続けてくれた指揮官と熱い抱擁を交わした。「『よく打った』と言ってもらいました」と照れくさそうに笑った。

 死闘を制したのは、チームとしても大きい。4点リードの九回に救援陣が乱れ、まさかの5失点。それでも直後に追い付き、最後は若武者が勝利を手繰り寄せた。「今までは自分のミスが多くて、それを他の選手にカバーしてもらっていた。今日は自分がカバーできたのかな」と胸を張った。

 劇的な勝利でチームは今季初連勝。初のカード勝ち越しも決めた。秋山、坂倉、モンテロら主力選手が次々と離脱する中、もがきながら白星をつかみ取っている。「明日からもガツガツいきたいなと思います」と田村。今季4年目を迎えた期待の大砲が、プロ140打席目で放った豪快なアーチ。秘めた才能は、まだまだこんなものではない。この一発を号砲に、一気にスターへの階段を駆け上がる。

 ◆球団初!代打でNPB初本塁打=サヨナラ弾!! 球団でNPB初本塁打がサヨナラ本塁打だったのはデュプリー(1980年4月5日・阪神戦)、植田幸弘(88年9月7日・大洋戦)、佐々岡真司(90年8月14日・中日戦)に続いて4人目で代打では初。他球団を含めれば初本塁打=サヨナラ弾は楽天・山下斐紹が18年7月24日・日本ハム戦で記録して以来、約7年ぶり。