2021年の東京五輪レスリング男子フリースタイル65キロ級金メダルの乙黒拓斗(26)=自衛隊=が4日、現役引退を表明した。自身のインスタグラムに「急な発表で驚く方もいるかもしれませんが、レスリング選手を引退することになりました」と投稿した…

 2021年の東京五輪レスリング男子フリースタイル65キロ級金メダルの乙黒拓斗(26)=自衛隊=が4日、現役引退を表明した。自身のインスタグラムに「急な発表で驚く方もいるかもしれませんが、レスリング選手を引退することになりました」と投稿した。

  * * *

 取材を通した印象は寡黙で多くを語らない姿だが、乙黒について周囲が口をそろえるのは豊富な練習量だ。同じ自衛隊所属で、パリ五輪男子フリー74キロ級銀メダルの高谷大地は自身が1時間、2時間とトレーニング量を増やしても、ウエート室に居続ける乙黒を見て「一日中いるので、いつ帰るんだろうと思っていた」と驚かされたという。同86キロ級代表の石黒隼士も「練習に対する姿勢や取り組み方が圧倒的」と証言する。

 22年には世界レスリング連合(UWW)が、乙黒の18年世界選手権決勝の動画が歴代最多視聴者数を記録したと発表したこともある。21年東京五輪以来の国際大会復帰となった23年9月の世界選手権では、海外のファンから大歓声を浴びたと聞く。国内外で一目置かれた選手だった。(23~24年レスリング担当・林 直史)

 ◆乙黒 拓斗(おとぐろ・たくと)1998年12月13日、山梨・笛吹市生まれ。26歳。4歳から山梨ジュニアレスリングクラブで競技を始める。石和南小卒業後、JOCエリートアカデミーに入校。東京・帝京高時代の2014~16年に全国高校総体3連覇。18年世界選手権のフリースタイル65キロ級で日本男子最年少の19歳10か月で優勝。21年東京五輪では金メダルを獲得した。173センチ。