レギュラーシーズンも終盤を迎え、プレーオフ争いとともに注目度が高まっているのが個人賞の行方である。MVPレースはニコラ・ヨキ…
レギュラーシーズンも終盤を迎え、プレーオフ争いとともに注目度が高まっているのが個人賞の行方である。MVPレースはニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)とシェイ・ギルジャス・アレクサンダー(オクラホマシティ・サンダー)の一騎打ちと見られているが、その他にもMIP(最優秀躍進選手賞)やDPOY(最優秀守備選手賞)などのタイトル候補を巡り、ファンやメディアの間で様々な議論が展開されている。
そんな中、ロサンゼルス・レイカーズのJJ・レディックHC(ヘッドコーチ)がMIP賞を強く批判した上で持論を展開した。インタビューに応じたレディックは、以下のようにコメントしている。
「あの賞が大嫌いなんだ。賞の定義に失敗している。賞の目的から外れ、本来の精神を損なっていると思うんだ。好きになれないね。もはや、実態に合わせて“ドラフト上位指名でリーグ入りし、マックス契約を結んでオールスターになれたで賞”とでも名称を変えるべきだ。間違ったことを言ってるかな?ここ5年で、そんな感じに変わってしまったと思うんだよね。元々の趣旨はそんなものではなかったと思う」
近年のMIP受賞者を振り返ると、昨シーズンに受賞したタイリース・マクシー(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)こそドラフト21位指名だが、2022-23シーズン以前の受賞者を順にさかのぼると、ラウリ・マルカネン(ユタ・ジャズ/ドラフト7位)、ジャ・モラント(メンフィス・グリズリーズ/同2位)、ジュリアス・ランドル(現ミネソタ・ティンバーウルブズ、受賞当時はニューヨーク・ニックスに在籍/同7位)、ブランドン・イングラム(現トロント・ラプターズ、受賞当時はニューオーリンズ・ペリカンズに在籍/同2位)と確かにドラフト上位指名者の受賞が続いている。
今シーズンのMIP筆頭候補として注目されているケイド・カニングハム(デトロイト・ピストンズ)は、2021年のドラフト1位でリーグ入りしている。また、2月に開催されたオールスターにも初選出を果たしており、まさにレディックの指摘する昨今の風潮に当てはまる選手である。
おそらくレディックは、ドラフト下位指名やドラフト外からのリーグ入りを経て大きな躍進を遂げた選手が受賞者にふさわしいと考えているのであろう。ドラフトでは指名されることがなく、2ウェイ契約からレイカーズの中心選手まで成り上がったオースティン・リーブスについては、昨今のMIP賞の風潮を揶揄するように「彼が受賞することはないだろう。でも、僕はシーズンを通して彼のことを賞賛し続けてきた」とコメントした。
果たして今シーズンのMIP賞は、レディックの指摘通りドラフト上位指名者に与えられる風潮が続くのか。まだレギュラーシーズン終了前だが、今後もNBAから目を離せない。