「中日3-5巨人」(3日、バンテリンドーム) 586日ぶりに手にした1勝。苦境から復活への第一歩を進ませたのは、巨人・田中将大投手の「勇気」だ。春季キャンプから約2カ月間、ともにフォーム改良に取り組んできた久保康生巡回投手コーチ(66)は…
「中日3-5巨人」(3日、バンテリンドーム)
586日ぶりに手にした1勝。苦境から復活への第一歩を進ませたのは、巨人・田中将大投手の「勇気」だ。春季キャンプから約2カ月間、ともにフォーム改良に取り組んできた久保康生巡回投手コーチ(66)は、その「勇気」をまずは称賛する。
一昨年の右肘の手術もあり、故障防止にも注力しながらの“魔改造”。決してすべての準備が整った状態ではない中、田中将は2月24日のロッテとのオープン戦に臨み、1回を無安打無失点に抑えた。
「彼のプライドからすると、まだ周りに見てもらうのはどうかなというのが出てもおかしくない。でも矢面に立って、今の自分を出してマウンドに上がるのは非常に素晴らしい」と久保コーチ。未完成の自分をさらけ出し、実戦でしか得られないものを貪欲に求めた。その姿を評価していた。
久保コーチとの二人三脚での取り組みは、変化を受け入れる「勇気」の一歩から始まった。楽天やヤンキースでエースを務めた田中将。それでも「実績があるとかないとか関係ない。自分が良くなれるなら、どんどんトライしていきたいし、その繰り返しで今まで来ている。変化が怖いとかは全くない」と言い切る。
久保コーチも「パッと(取り組んでいることを)外してしまいたいとか、もっと元の自分はこんなやつみたいな部分が出ても不思議ではないが、非常に辛抱して、まずやってみようというのが強かった」と振り返る。
過去のキャリアではなく、プロの投手として強いプライドを持つ。誰もが簡単には歩めない復活への道。その一歩を踏み出した覚悟が、通算198勝目をたぐり寄せた。(デイリースポーツ巨人担当・中田康博)