井上との激闘を演じてきたドネア。彼は三度、モンスターとの勝負を求めた。(C)Getty Images 老いてなお、闘志は漲っている。ボクシングの元世界5階級制覇王者のノニト・ドネア(フィリピン)が井上尚弥(大橋)との3度目となる再選を熱望し…

井上との激闘を演じてきたドネア。彼は三度、モンスターとの勝負を求めた。(C)Getty Images

 老いてなお、闘志は漲っている。ボクシングの元世界5階級制覇王者のノニト・ドネア(フィリピン)が井上尚弥(大橋)との3度目となる再選を熱望した。

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 現地時間4月1日に米ボクシング専門サイト『Boxing Scene』の取材に応じたドネアは、「1年半くらいチョコラティート(ローマン・ゴンサレス)や(フランシスコ)エストラーダ、その他大勢と試合をしようと画策していた」と告白。23年7月のアレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ)戦以来となるリング復帰を模索している自身の現況を語った。

 その中で“フィリピンの閃光”が「もう一度踊りたい」と語ったのが、「モンスター」(井上の愛称)だ。過去2度の対戦は、いずれもドネアが敗れているが、42歳のレジェンドは、三度目の正直を申し出た。

 いずれもドラマチックな展開だった。2019年11月、WBSS決勝というひのき舞台で初対戦では、最終的に井上が3-0の判定勝ちを収めたものの、フルラウンドに及んだ攻防でモンスターは右眼窩(がんか)底を骨折。一方のドネアも11回に左ボディでダウンを奪われるなど、互いに小さくないダメージを受ける熱き展開となった。

 3年後に実現した2度目の対戦では井上が2回TKOでドネアに完勝。ただ、勝者による「ドネアだったからこそ自分はここまで燃えることができた」との言葉が示すように、両雄のライバル関係は周囲を滾らせるものだったのは間違いない。

 もっとも、井上側が3度目のマッチメイクに興味を示すかはわからない。今もトップ戦線をひた走る日本の至宝は、今年5月に米ラスベガスでラモン・カルデナス(米国)とのスーパーバンタム級での防衛戦が決定。さらにムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)とのタイトルマッチや、フェザーに転級してのニック・ボール(英国)戦、さらには中谷潤人(M.T)とのドリームマッチ実現も現実味を帯びてきている。

 それでもドネアは「モンスターと戦うときには誰もが認める戦いをしてベルトを全部取りたいんだ」と断言。「とにかく自分をレベルアップさせたいと思っている。だから、先に118ポンド(バンタム級)のチャンピオンであるナカタニと戦いたい。そして、モンスターだ。自分にはそれができるとわかっている。これが自分の考えているゲームプランだ」と続けた。

 無論、ドネアはリングに立ち、いまだ実力が衰えていないことを示す必要がある。中谷、そして井上との対戦が実現するのは、それからとなる。となると、やはり現実味は薄いように思えるが、果たして――。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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