「阪神2-5DeNA」(3日、京セラドーム大阪) ひと振りで流れを変えた。阪神・佐藤輝明内野手(26)が八回1死一塁から、一時同点となる2号2ラン。ゲラの乱調でホーム開幕カードは勝ち星なしの1分け2敗に終わったが、開幕戦以来の一撃を放った…
「阪神2-5DeNA」(3日、京セラドーム大阪)
ひと振りで流れを変えた。阪神・佐藤輝明内野手(26)が八回1死一塁から、一時同点となる2号2ラン。ゲラの乱調でホーム開幕カードは勝ち星なしの1分け2敗に終わったが、開幕戦以来の一撃を放った背番号8に打倒・巨人の期待を託す。守備でも魅せた超人的なプレー。風穴をあけるのはやはり、この男だ。
白球が左中間フェンスをギリギリ越えた瞬間、ドームは大歓声で反響した。鳴りやまないメガホン、止まらない歓声。その音を一身に浴びたのは佐藤輝だった。「あの打席は何とかいい結果になって良かったと思います」。起死回生の同点2ラン。敗れはしたが、この一発が悔しさを半減させた。
2点ビハインドの八回1死一塁。坂本の146キロ外角直球を逆らわずに強振した。それほど角度は上がらなかったが、フェンスを越える。開幕戦の今季初打席以来、5試合ぶりの一発。「いい当たりが出た」。二塁手前ではポンッと手をたたき、ベンチ前では藤川監督ともハイタッチで喜びあった。
2日のDeNA戦では開幕戦での本塁打以来、17打席ぶりの安打。今季初のマルチ安打も記録した。この日も初回2死ではケイにバットを折られながら左前打。完全に詰まらされてはいたが、ヒットコースに打球が飛ぶのは復調の兆しだ。豪快な2号も昨秋キャンプから取り組んできた逆方向への一撃。「いい打球も出ている」と表情も明るくなってきた。
試合前まで左投手には7打数無安打で5三振だった。そんなサウスポーからの安打と本塁打。「苦手な意識は特にないんで。今日は良かったなと思います」。嫌なデータも振り払い、さらに上昇気流へと乗っていく予感が漂う。
守備でも魅せた。四回無死で牧の三塁線のゴロを逆シングルでキャッチ。その場で反転してのジャンピングスローで間一髪アウト。捕球してからの素早さにワンバウンド送球の正確性がかみ合い、メジャーリーガー顔負けの好プレーでデュプランティエを救った。
ただ、チームは勝てなかった。九回にゲラが打たれ、最終回の攻撃も悔しそうにベンチから見つめた。2試合続けて打点を挙げながら、勝利にはつながらなかった。だからこそ、言葉にも熱がこもる。
「また明日から、もっとチームの勝利につながるような打撃を心がけていきたい」
ホームでDeNAに1分け2敗。借金を抱えて敵地・東京ドームへと乗り込んでいく。まだ6試合。でも、首位・巨人の背中が遠のいてはいけない。次こそ、勝利に導く一打を打ってみせる。