「阪神6-6DeNA」(2日、京セラドーム大阪) ホーム初勝利はならなかったが、新3番打者に光が差した。阪神・佐藤輝明内野手(26)が、四回に自身17打席ぶりの安打となる右中間への同点適時二塁打。六回にも右前打を放ち、今季初のマルチ安打を…

 「阪神6-6DeNA」(2日、京セラドーム大阪)

 ホーム初勝利はならなかったが、新3番打者に光が差した。阪神・佐藤輝明内野手(26)が、四回に自身17打席ぶりの安打となる右中間への同点適時二塁打。六回にも右前打を放ち、今季初のマルチ安打を記録した。逃げ切れず、勝ち越せず、延長十二回の死闘の末に今季初のドローとなった中、森下、大山と形成する藤川阪神の新クリーンアップが計8安打5打点と躍動した。

 打球がグラウンドに弾むと、スタンドからは割れんばかりの大歓声が起こった。佐藤輝が1点を追う四回に同点の適時二塁打を放った。これが3月28日、広島との開幕戦の第1打席で本塁打を放って以来、17打席ぶりの安打。トンネルを一つ抜け出した。

 「早めに追いつきたい場面で、なんとか食らいつこうと打席に立ちました。(一走の)中野さんもよく走ってくれて、得点につながってよかったです」

 ようやく悪い流れを断ちきった。四回、1死一塁の場面。追い込まれながらも、大貫の落ちるボールにうまく反応。打球は右中間を破る同点の適時打となった。久々の快音に佐藤輝は、二塁ベース上で4度強く手をたたき、グッと両手の拳を握った。

 試合前の打撃練習中には、小谷野打撃チーフコーチからアドバイスを受けた。「いろんなコミュニケーションをとりながら、いい方向に持っていけていると思います」。センター方向中心に打ち返し、力を入れれば柵越えを連発した。試行錯誤もしながら臨んだ試合で、すぐに結果につなげた。

 チームに勢いをもたらす一打も出た。再び1点を追う形となった六回、1死走者なしから、今度は甘く入ったカーブを捉え右前打。今季5試合目にして初のマルチ安打をマークすると、そこから打線がつながり再逆転。劣勢の中でも雰囲気を変える大きな一本だった。

 今季は開幕戦の最初の打席で12球団最速アーチを放った。最高のスタートを切ったものの、そこから3戦無安打。前夜は3三振に加え、終盤のチャンスで遊飛に倒れるなど、悔しい結果に終わっていた。それでも「(感覚は)悪くないです。ちょっとしたこと。切り替えて、また明日があるので頑張ります」と前を向いていた。

 ここ2年は、春先のスタートダッシュに失敗していたが、決して弱気にならないのが佐藤輝。シーズン前には「多少結果が出なくても、1年間長いんで、思い詰めることなくやっていきたい」と心構えを明かしていた。

 延長十一回の強烈な右飛も「惜しかった」と状態は上向き。4時間半に迫る熱戦はドロー決着となったが「2本出たので、またいいイメージを持って明日なんとか勝ちたい」と力を込めた虎の大砲。この試合をきっかけとして浮上していく。