掴み合いの攻防での反則裁定から、試合再開とほぼ同時にダメージを負った選手の顔面に強烈な後ろ上段回し蹴りが炸裂。あまりにも無慈悲でインパクトに満ちた衝撃KOシーンに、ファンからは「すごい」「素晴らしい」と称賛の声が上がる一方、「これはひどい…

 掴み合いの攻防での反則裁定から、試合再開とほぼ同時にダメージを負った選手の顔面に強烈な後ろ上段回し蹴りが炸裂。あまりにも無慈悲でインパクトに満ちた衝撃KOシーンに、ファンからは「すごい」「素晴らしい」と称賛の声が上がる一方、「これはひどい」と敗者に寄り添う声も聞かれた。

【映像】再開と“同時”に上段回し蹴りで衝撃KO

 3月30日、後楽園ホールで開催された「Krush.172」で、瑠久(RAUSU GYM)と蓮實光(Re CAST GYM)が対戦。瑠久の華麗かつ強烈な後ろ上段回し蹴りが何度も炸裂し、1ラウンドで衝撃的なKO決着となった。

 連敗中の瑠久は、稲垣柊、寺島輝との試合に敗れており、今回は再起を懸けた一戦。対する蓮實も、2020年から続く8連敗の泥沼から抜け出したい状況。勝利を渇望する両者の対決となった。

 ゴングと同時にじわじわと前に出る蓮實に対し、瑠久は強烈なローキックを蹴り上げて応戦。距離を保ちつつ、一気に加速してローやパンチを織り交ぜ、落ち着いた試合運びを見せる。

 プレッシャーをかけ続ける蓮實も近距離でパンチを数発放ち応戦するが、一瞬の離れ際に瑠久の強烈な右後ろ回し蹴りが顔面を捉え、蓮實の顔が大きくのけ反る。さらに間髪入れず、2発目の回し蹴りも蓮實の顔面にヒットするなど一方的な展開。

 勢いに乗る瑠久はローキック、そして声を張り上げながらのフックの連打と、一気に攻撃のギアを上げる。そして再び華麗な後ろ回し蹴りが決まるとABEMA解説・卜部弘嵩も「瑠久、強くなってる」と太鼓判を押す。一方的な展開に、蓮實も意地を見せてパンチの連打を返すが、瑠久のラッシュに押され動きが止まる。

 しかしここでアクシデント。ブレイク直後、瑠久の右後ろ回し蹴りが側頭部を直撃し、蓮實はダウン。すでにダメージが蓄積し、ふらつきながら立ち上がる蓮實だったが、試合再開直後にクリンチの体勢から左のパンチをもらい、腰を落とす。さらにその直後、瑠久が押さえ込むようにして膝蹴りを顔面に打ち込み、追加のダウンを奪う。

 この場面について試合は中断して検証へ。解説の石川直生は「流れの中の攻撃に見える」と語り、卜部も「抑えて膝は反則だと思いますが、今のは違う」と見解を述べた。石川は「見え方的に蓮實が崩れたところに(膝が入った)」と指摘し、卜部も「(頭を)抑えてないですよね」と続けるなど、ルール解釈について議論が交わされる。

 ファンの間でも「有効打だよ」「(蓮實の)タックルやん」「手を添えただけ」「アウトだろ」と意見は真っ二つに分かれたが、この行為はK-1ルールにおいて反則と見なされ、瑠久に減点1のイエローカードが提示される波乱の展開となる。

 そんな展開の中、試合再開と同時に劇的なKO決着が訪れる。瑠久は再び右後ろ回し蹴りを一閃。顔面を捉えると、蓮實はマットに両手をついて崩れ落ち、レフェリーが即刻試合を止めた。

 反則裁定に意見が分かれる中、そんな声をかき消すように見事なKOで応えた瑠久。徹底的に後ろ回し蹴りにこだわった勝利に、ファンからは「速攻で終わった」「素晴らしい」「すげえ」と驚きと称賛の声が上がった一方、「これはひどい」「もう無理な状態だったか…」など蓮實に対する同情の声、さらに「しっかりグローブを合わせてからの回し蹴り」といった擁護の声も寄せられた。

 深刻なダメージを負った蓮實に対し、瑠久は間髪入れず後ろ回し蹴りを決め、それが決定打となった点について石川は「蓮實選手KO負けが続いていて、年齢的な問題もある。今日の試合も3回くらいダウンしたことになるので、心配です」と本音を漏らしていた。