国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦するサンウルブズが、発足3季目となる2018年シーズンの体制を徐々に整えている。ヘッドコーチは、本来2018年まで契約していたフィロ・ティアティアに代わって日本代表も率いるジェイミー・ジョセフが就…

 国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦するサンウルブズが、発足3季目となる2018年シーズンの体制を徐々に整えている。ヘッドコーチは、本来2018年まで契約していたフィロ・ティアティアに代わって日本代表も率いるジェイミー・ジョセフが就任する。

 一部発表された選手リストには、日本代表の山田章仁の名があった。チーム発足1年目だった2016年以来の参加。当時は男子7人制日本代表に専念すべく途中離脱も、9トライを挙げていた。

 日本代表の主戦WTBでもある32歳は、2年ぶりのサンウルブズ復帰。今度のサンウルブズはジョセフが率いるとあってジャパンとのリンケージが期待されるが、それに対しては「(代表活動とサンウルブズの間に)メリハリがつけば」と踏み込んだ発言はしない。

 他クラブからのオファーもあるなかサンウルブズの契約書にサインをしたのは、ジョセフが2015年にハイランダーズを率いてスーパーラグビーを制したこと、1歳になったばかりの双子の育児に関し「スケジュールが読みやすい」ことが背景にあるという。

 2019年のワールドカップ日本大会を絡めた質問をされても、この調子である。

「あんまりそういう意識はない。ハイランダーズで優勝した監督のチームでやれる、というのが大きい。メディアの皆さんも、スーパーラグビー仕様と日本代表仕様と分けていただければ。プロのリーグなので、結果はもちろんエンターテイメント性も大事になってくる。そういう意味では、皆さんのエッジの利いた質問をお待ちしています」

 振り返れば参加初年度。できたばかりのサンウルブズには失望の意を示していた。2月の開幕時は、東京・秩父宮ラグビー場の芝の状態、開幕直前に遠い沖縄でキャンプを張る日程などについて公の場で抗議した。

 トライを量産するなかでも、驚きを隠さなかった。旅先での食事がハンバーガーひとつだったこと、遠征から途中離脱する際の飛行機で他の大型選手と並びエコノミー席に座ったこと…。

 今度は、環境の整備を期待しているのだろうか。その仮説に「今回はその辺は、予想はしていないというか」とし、涼しい顔で続ける。

「今回も、ハンバーガー1個でもトライが獲れるように頑張ります…っていう、ね。大変な1年目を経験できたので、そこまででもないかな、という希望も持っています。試合に集中したいです」

 サンウルブズへ加わる前年に在籍のウェスタン・フォースは、2017年をもってスーパーラグビーを離脱した。サンウルブズは来季からオーストラリア・カンファレンスに挑むも、山田は同カンファレンスにいた古巣との対戦が叶わない。

「非常に残念ですね。フォースのみんなとも仲良くやっていたので。フォース出身として、スーパーラグビーを盛り上げていきたいと思っています」

 2016年は1勝、2017年は2勝。来季は、と問われ、「皆さんのご協力も必要ってことで」。一見、けむに巻いているようでもあるが、いざ芝に立てば「負けていい試合は1個もない」との態度で決闘に挑むだろう。
(文:向 風見也)