■4位・磐田が首位・千葉をホームに迎えた【J2リーグ第7節 3月30日 15時03分キックオフ 磐田 1ー0 仙台 ヤマハスタジアム(磐田)】 戦国J2の看板に、偽りはない。J2リーグは3月30日までに第7節を終え、混戦の度合いを増している…
■4位・磐田が首位・千葉をホームに迎えた
【J2リーグ第7節 3月30日 15時03分キックオフ 磐田 1ー0 仙台 ヤマハスタジアム(磐田)】
戦国J2の看板に、偽りはない。J2リーグは3月30日までに第7節を終え、混戦の度合いを増している。
今節の最注目カードは、首位のジェフユナイテッド千葉と4位のジュビロ磐田の上位対決だ。小林慶行監督が統べる千葉は、ここまでリーグ唯一の6連勝である。一方の磐田は2連勝、2連敗、2連勝で4勝2敗だ。
試合は開始早々の6分に動く。ホームの磐田が先行する。
左SB松原后がDFラインの背後へ縦パスを通すと、トップ下の位置から左サイドへ流れたMF角昴志郎がボールを収める。千葉のCB鈴木大輔との1対1となり、ペナルティエリア内左からカットインしてシュート体勢を作り出すと、右足のシュートがゴール右スミへ突き刺さった。
磐田のジョン・ハッチンソン監督は、3、4節の連敗を受けて5節からスタメンの一部に手を加えた。そのひとりがトップ下の角で、筑波大学から加入した大卒1年目の22歳は前節で先制点につながるPKをゲットするなどしている。千葉に強烈な先制パンチを浴びせた一撃は、嬉しいJリーグ初ゴールとなった。
この場面では、あるマッチアップが得点に関わっている。磐田のFWマテウス・ペイショットと千葉の右CB鳥海晃司だ。
得点への流れを巻き戻すと、GK阿部航斗から左CB上夷克典を経由して、左SB松原へボールがつながっている。ここで1トップのペイショットは、自陣でのビルドアップをサポートするために、松原の近くまで下りてきた。その頭上を越えて、トップ下の角へロングパスがつながった。
角が左サイドからカットインしたスペースは、本来なら鳥海が埋めていてもおかしくない。しかし、ペイショットとともに敵陣まで出ていったために、鈴木をかわした角はフリーでシュートへ持ち込むことができたのだった。
■磐田のCBの「1試合平均プレー数」が多い意味
磐田のハッチンソン監督が、5節からスタメンに手を加えたのは前述したとおりである。角とともにスタメンに抜てきされた選手のひとりが、GK阿部だ。
アルビレックス新潟から加入した彼は足元の技術に長け、ビルドアップに積極的に関与していく。当然ながら千葉も対策は講じており、開始3分には自陣ペナルティエリア内でのつなぎでボールを失い、あわや失点という場面を作られた。27分にも千葉に前からハメられてしまうが、42分には鮮やかに引っ繰り返す。
阿部がDFへつなぐのではなく中盤の頭越しへ蹴り出すと、ペイショットから松原へつながる。この縦パスで千葉のダブルボランチを置き去りにし、千葉の左SB日高大を食いつかせ、右サイドに広大はスペースが生まれる。松原からパスを受けた右MFジョルディ・クルークスが、際どいクロスを供給するという場面を作り出した。
磐田は1試合平均パス数や平均ボール支配率で、リーグトップクラスの数字を弾き出している。個人に目を移せば、右CBで開幕から7試合連続でフル出場を続けている江﨑巧朗、5節から左CBに入っている上夷が、1試合平均プレー数でリーグトップを争っている。両CBがそれだけプレーに関わっているのは、自陣からビルドアップを試みていることが関係している。
この試合の42分の場面のように、前線からのプレスを引っ繰り返すことができれば、対戦相手は次もいくべきかどうかの判断に迷うだろう。目の前の相手だけでなく、次節以降の対戦相手に対しても、精神的なプレッシャーを与えるものとなっていくはずだ。その意味で、42分のシーンは価値あるものとなった。