ボクシングの「2024年度 年間優秀選手表彰式」が31日、都内で行われた。7年連続8度目の最優秀選手賞を受賞した4団体統一世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥(31)=大橋=は、壇上でのスピーチ中にWBC世界バンタム級王者の中谷潤人(27…

 ボクシングの「2024年度 年間優秀選手表彰式」が31日、都内で行われた。7年連続8度目の最優秀選手賞を受賞した4団体統一世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥(31)=大橋=は、壇上でのスピーチ中にWBC世界バンタム級王者の中谷潤人(27)=M.T=に「1年後の東京ドームで日本ボクシングを盛り上げよう」と来春の対戦をサプライズで呼びかけ、中谷も「ぜひ、やりましょう」と応じた。夢の頂上決戦がまた一歩実現に近づいた。

 尚弥が仕掛けたサプライズに、ボクシング関係者が一堂に会する会場は騒然となった。壇上でMVP受賞の喜びを語るとともに「最近ファンや関係者から多く声が上がっている国内ビッグマッチに向けて、今年はベストを尽くしたい」と中谷戦に言及したかと思うと、突然、意中の27歳が座る方向を向いた。「中谷くん、1年後に東京ドームで、日本ボクシングを盛り上げよう!!」。国内外のファンが夢想するカードを公の場でぶち上げ、固い握手を交わした。

 昨年5月、東京ドームで37年ぶりに開催されたボクシング興行のメインで“悪童”ルイス・ネリ(メキシコ)を倒し、年間最高試合にも選ばれた。次はともにプロ無敗でパウンド・フォー・パウンド(階級を超えた最強10傑)入りしている中谷との頂上決戦となれば、さらなる盛り上がりは必至となる。「(公言することで)気が抜けなくなる。この時期からドラマをつくれば1年後にものすごく注目を浴びる。しっかりストーリーをつくり上げてから戦いたい」と真意を明かした。

 来春の実現を夢想しながらも、自身は5月に米ラスベガスでWBA2位のラモン・カルデナス(米国)、9月に日本でWBA暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)、12月にサウジアラビアでWBA世界フェザー級王者ニック・ボール(英国)との3戦を計画中。負ければ一瞬で砂上の楼閣となりかねないだけに緊張感はより高まる。「(中谷と)お互いがベストを出し今年を乗り越えられたら、日本ボクシング史上一番盛り上がる日本人対決になる。自分にも彼にも期待して過ごしたい」。新年度の始まりにモンスター級の青写真を描き、夢のゴングへのカウントダウンが始まった。