横浜が3-1の6回1死三塁、カウント2-2から投手交代 第97回選抜高校野球大会は30日、大会最終日を迎えて決勝が行われ、横浜(神奈川)と智弁和歌山(和歌山)が対戦。1994年の選抜以来31年ぶり2度目となった対戦は、横浜が11-4で勝利を…

横浜が3-1の6回1死三塁、カウント2-2から投手交代

 第97回選抜高校野球大会は30日、大会最終日を迎えて決勝が行われ、横浜(神奈川)と智弁和歌山(和歌山)が対戦。1994年の選抜以来31年ぶり2度目となった対戦は、横浜が11-4で勝利を収め、公式戦20連勝で19年ぶり4度目の優勝を飾った。村田浩明監督は2点リードの6回1死三塁、カウント2-2となったところで投手を交代。この決断が大きな一手となり、松坂大輔投手(元西武)を擁した1998年以来、史上初となる2度目の秋春連覇を達成した。

 横浜が3-1で迎えた6回の守備。先発の右腕・織田翔希投手(2年)が1死二塁のピンチを招く。打席には2回に右前打を許している4番・福元聖矢外野手(3年)。織田の3球目が暴投となり、走者は三塁へ。4球目は内角直球でファウル。カウント2-2となったところで横浜ベンチが動いた。一塁側ブルペンで投球練習をしていた左腕の片山大輔投手(3年)がマウンドへ。スタンドがどよめいた。

 片山は今大会、沖縄尚学(沖縄)との2回戦で打者2人に投げただけ。智弁和歌山の中谷仁監督も「本当に大事な局面ではあるので……。でも正直、織田君、(エースの)奥村(頼人=3年)君以外のピッチャーがワンポイントで来るのは想定していなかったです」と驚く投入。だが村田監督は「奇策じゃないです。それだけの練習をしたことがある。迷いなくいけた」と平然と言った。

 智弁和歌山打線に対して3巡目となった織田の状態も考慮しての投入。「2ストライクになったらいくぞ」と言われていた片山は、左の強打者に必殺のスライダーを投じた。やや高めに抜けたものの、空振り三振。直前の織田の力強い内角直球の残像があった福元は「奥村がくると思ったら違った。冷静に考えれば変化球一本、スライダー一本の場面なのに、冷静になれなかった」と悔しさをのぞかせた。

1球で空振り三振…村田監督「あれが勝敗を分けた」

 1球で勝負を決めた片山は「いいところに投げられた。最高でした」とガッツポーズ。まだピンチは続いていたが笑顔でベンチに戻り、奥村頼に後を託した。村田監督は「1人に全集中していたので、次に続くわけがない」と同じ左腕の奥村頼へのスイッチの理由を説明。奥村頼は続く打者に中堅への鋭い打球を打たれたが、阿部葉太外野手(3年)がダイビングキャッチする超美技も飛び出しで主導権を渡さず、直後の攻撃で一挙6点を奪って勝負を決めた。

 両チームの指揮官が「大事な局面」と振り返る場面での“神采配”。村田監督は「あれが勝敗を分けた。本当に魂のこもった1球だった」と片山を称えた。紫紺の大旗を手繰り寄せた“片山の1球”。間違いなく今大会のハイライトの1つだ。(尾辻剛 / Go Otsuji)