3月25日から27日まで、日本工学院八王子専門学校体育館で「KAZU CUP2025」が開催。キレとスピードを兼ね備えたドラ…
3月25日から27日まで、日本工学院八王子専門学校体育館で「KAZU CUP2025」が開催。キレとスピードを兼ね備えたドライブ、緩急を交えた1対1のテクニック、そして勝負強いシュート力で注目を集めたのが尽誠学園の金山颯(3年)だ。
金山は「令和5年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(北海道インターハイ)」の3回戦、中部大学第一高校(愛知県)戦で29得点10アシスト10リバウンドのトリプルダブルを達成。鮮烈なデビューを果たした。
その後もチームの得点源として、インターハイやウインターカップで活躍してきた金山もこの4月に3年生になる。新チームでは蓑手海叶と荻野隼成(ともに3年)と3人体制でキャプテンを務め、名実ともにチームを引っ張る存在となった。
「最上級生になってわかったのは、いかに自分が下級生だった支えてもらってバスケをしてきたかということです。自分のパフォーマンスだけでなく、チームについても考えていかなければなりません。そこはキャプテン3人で役割を担い合って、チームを支えていきたいと思っています」
チームの柱となる自覚は体つきにも表れている。全体的にビルドアップされた体、特に肩の筋肉の盛り上がりに、トレーニングの成果を見ることができるだろう。「フィジカルを強くしないと全国では戦えないので、この冬は力を入れてきました」と本人も語るようにキレだけでなく、パワーの面でも進化を遂げようとしている。
1年でトリプルダブルを達成して以降、色摩拓也コーチからは「30得点10アシスト10リバウンドをアベレージで出せるように」とノルマを課せられたという。当然、スタッツにこだわりすぎることはないが、ここにきて色摩コーチからは「得点はそのままにアシストを増やすように」と指示されているという。
ただ、アシストばかりに気が行ってしまうと自身の武器である得点力を損なう危険性をはらむ。そこで、金山は「効率的に攻めるようになりたい」と考えている。周囲を生かしながら自分の持ち味を発揮できれば、自ずとチーム力はアップするはずだ。
「コントロール主体のポイントガードではなく、客観的に見てスコアリングガードだと思います。ただ、自分としては得点にこだわるのではなく、チームを勝たせられるガードになりたい」と、自身なりのガード像を構築している段階だ。
現在のロスターでは185センチの荻野が最長身と、今年の尽誠学園は例年以上に小さな陣容で戦うことになる。「スタメンに4人のガードを起用することもあります」と金山。「だからこそ、一人ひとりの意識を高くして、ルーズボール、リバウンド、ディフェンスこだわらなければなりません」と力を込めた。
「5人だけでは戦えないので、ベンチの選手も多く試合に絡めるといいチームになっていくと思います」
エース、司令塔、そしてリーダーと金山の仕事は多い。チーム、そして自身の理想像を求めて今シーズンを戦うことになりそうだ。
文=入江美紀雄