30日まで行われたフリースタイルスキー・スノーボードの世界選手権で、印象に残った言葉がある。 スノーボード女子ビッグエ…
30日まで行われたフリースタイルスキー・スノーボードの世界選手権で、印象に残った言葉がある。
スノーボード女子ビッグエアで表彰台を独占した日本勢。その真ん中に立った村瀬心椛(ここも)は言った。「日本は強いんだぞって、多くの人に知ってもらえたらうれしい」。金メダルの喜びはそこそこに、20歳は競技全体の普及に目を向けていた。
舞台となったスイス・サンモリッツは冬季五輪が2度開催された街。この大会中もスキーやスノボ客らでにぎわい、バーは競技の話題で持ちきりだった。
だが「(日本では)まだまだ(スノボは)マイナー競技」と村瀬。17歳で挑んだ2022年北京五輪で銅メダルを獲得し、冬季五輪の「日本女子史上最年少メダリスト」と注目を浴びた。が、一過性のものだったと感じている。
「もっと競技の魅力を広めたい」。だから、今大会中に自身のYouTubeチャンネルを開設した。自ら撮影、編集した動画では試合前の心境や披露した技の説明、宿舎での食事の様子などを紹介している。事前にライブ配信でファンの声を聞いたところ、約900件のコメントが届いた。「興味を持ってくれている人もいる。やるなら世界選手権の今だと思った」
大会中のメダルセレモニーには「個性を出したかった」と、1人だけスカート姿で登場した。スノボが「いかに自由で楽しいものか」を服装でも伝えたかった。
それはライダーたちの共通理念でもある。スノボの男子ハーフパイプ銀メダルの平野流佳は、滑り終えた直後に現地の少年にヘルメットをプレゼントした。「応援が僕たちの力になる。結果も大事だけど、カッコよさも伝えていけたら」
順位やメダルを争うだけにとどまらない。その先の未来へ、雪山には選手たちの切実な思いがあふれていた。(山口裕起)