(30日、第97回選抜高校野球大会決勝 横浜11―4智弁和歌山) 1死二塁で打席には智弁和歌山の4番打者。横浜が六回に迎えたピンチだ。さらに暴投で走者が三塁へ。「2ストライクになったらいくぞ」。横浜の左腕、片山大輔は村田浩明監督からそう声…

 (30日、第97回選抜高校野球大会決勝 横浜11―4智弁和歌山)

 1死二塁で打席には智弁和歌山の4番打者。横浜が六回に迎えたピンチだ。さらに暴投で走者が三塁へ。「2ストライクになったらいくぞ」。横浜の左腕、片山大輔は村田浩明監督からそう声をかけられた。「三振が欲しいのかな」。冷静にその思いをくみ取った。

 カウント2―2で出番はきた。直球に自信がある。ただ、前回登板で多投した。捕手の駒橋優樹に迷いなく「スライダーでいく」と伝えた。

 球種が見極めづらいように、左腕を思い切り振る。空振り三振に仕留め、エース奥村頼人に後を託した。渾身(こんしん)の「1球リリーフ」で、「片山のスライダーは初見で打てない」と言う監督の期待に応えた。

 織田翔希と奥村頼。横浜は左右のエースを抱える。報道陣が詰めかけた公開練習のブルペンでは「2人の横では投げたくないな」と漏らしたこともあった。

 ただ、2回戦でもピンチで救援し、1奪三振。三振が欲しい場面のワンポイント起用に、生きる道を見いだした。背番号18は、プロ野球ではエースがつけることも多い。「今は18に誇りを持っています」。自信をつかむ春になった。(高億翔)