制球が定まらず、無念の降板を余儀なくされた佐々木。その顔に悔しさは滲み出る。(C)Getty Images ベンチに戻った怪腕の目には涙が溢れた。 現地時間3月29日に本拠地で行われたタイガース戦に佐々木朗希(ドジャース)が先発。今月19日…

制球が定まらず、無念の降板を余儀なくされた佐々木。その顔に悔しさは滲み出る。(C)Getty Images

 ベンチに戻った怪腕の目には涙が溢れた。

 現地時間3月29日に本拠地で行われたタイガース戦に佐々木朗希(ドジャース)が先発。今月19日に東京ドームで行われたカブスとの前回登板から中10日で迎えたアメリカでのデビューマウンドだったが1回2/3(61球)を投げ、被安打3、4四球、2失点で無念の降板を余儀なくされた。

【動画】佐々木朗希が本拠地デビュー戦!三振を奪うシーン

 立ち上がりから課題の制球が乱れた。対戦した打者8人中4人にフルカウントにまで持ち込まれる苦しい投球となった初回に2四球を与えるなど2失点。続く2回も先頭のライアン・クライドラーに四球を与えると、見逃し三振、遊飛で2死を奪ったが、4番スペンサー・トーケルソンをふたたび四球で歩かせてしまう。そして、ここでデーブ・ロバーツ監督がベンチを出て、降板を告げた。

 4四球が物語るように61球中ストライクは32球。課題であるコントロールは、自己ワーストタイとなる5四球を与えた前回登板に続き、この日も精彩を欠いた。その悔しさゆえか、マウンドを降りた直後の佐々木はベンチで目にいっぱいの涙をためこんだ。

 特大のポテンシャルは誰もが認めるところだ。でなければ、彼を巡る争奪戦において30球団未満20球団以上のチームが獲得に動くなどありえない。だからこそ、2戦で与四球率17.36、被打率7.71と本領を発揮しきれていない内容はどうにももどかしい。

 メジャーの壁にぶつかり、もがく佐々木。その姿に球団のレジェンドからも、叱咤激励が飛ぶ。

 地元スポーツ専門局『Sports Net LA』の解説者で、MLB通算204勝を挙げた大投手オーレル・ハーシュハイザー氏は「フリーパスを与えたツケを払わされた。フリーパスを与えると、失点の可能性が大幅に増えるんだ」と、走者を警戒せず、どこか集中を欠いていた投球姿勢に苦言。

 さらにハーシュハイザー氏は41球を要した初回の内容を問題視。「40球を超えてしまうと、この登板そのものを挽回することは難しくなってしまう。なぜなら、彼の将来を守る為にデーブ・ロバーツは交代せざるをえないからね」とシビアに評した。

 もっとも、この日もチーム自体は好調。5回に逆転したドジャースは7-3でタイガースを退け、1981年以来となる開幕5連勝を飾っている。

 そうしたチーム状況をふまえ、往年の大投手は、佐々木に檄を飛ばしてもいる。

「彼は東京でのマウンドよりも良くならなきゃいけないと思っているのかもしれないが、今はその必要はない。ドジャースは彼が優れた投手だから契約をしたんだ。だから、ロウキは自分らしさってものを出せばいいんだよ」

 MLB204勝の名投手の言葉は、佐々木の胸にどう響くか。ここからの成長に期待したい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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